ファルク×ゲープ 3
とりあえず、と言われた瞬間、頭に血が上った。
ファルクはゲープを床に突き倒し、ねじ伏せた体に乗り上げた。
「ファルクッ!?」
なにをする、と気色ばむゲープの耳元で、ファルクは声を潜めた。
「やるんだろ?・・・騒いだらバレるぜ」
言いながら手をまわして股間を探ると、そこはもう堅くなっていた。
アズランとのキスを思い出したのか。
それだけで、こんなに感じたのか。
聞きたくて、だが言葉は喉の奥に絡んだままだ。
ゲープは、抗う気配を見せなかった。
ファルクが多少手荒にやりたい気分なのだと誤解したらしい。
無防備な尻の谷間に怒りと欲望で熱く猛ったものをぐいぐいと押し付けながら、ファルクは押し殺した声で囁いた。
「脱げよ」
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「・・・・・っ」
みっしりと盛り上がる尻の肉を押し広げて指を這わせると、いつもは堅く窄んだ口が少し緩んでいるのがはっきりとわかる。侵される前からひくひくと蠢くそこは誘っているようで、ここに自分とする時のように簡単に突っ込ませたのかとおもうと、更に怒りがこみ上げた。
唾をつけただけで指を突き入れると、ゲープはハッと息を呑んだ。
ファルクは、ことさらに優しげな声を出した。
「・・・後ろからか?」
「・・・・?」
なんのことかわからぬ、というようにゲープが振り向く。
彼の内部は、昨夜の名残でろくな抵抗もなくファルクの指をのみこんでいく。
「前からやったのか?」
「ファルク・・・?」
指を増やして抜き差しすると、ゲープは、ン、ン、と小さく喘いだ。
もう欲しそうにしているそこに望みどおりのものをあてがって、ファルクは押し入った。
「ッ、ア・・・・ッ!!」
抜き身のままだ、と気づいて、ゲープは悪態をついた。
「ファルク!ゴムぐらいつけろっ・・・ッ、う・・・ッ!」
後始末があるから、コンドームの使用については暗黙の了解があった。
ルール違反だ、抜け、と暴れるゲープを押さえたまま、ファルクは強引に挿入を深くした。
「アッ・・・あぅっ・・・ううっ・・・・」
ずっぷりと突き入れてグッグッと腰を使うと、ゲープはいやらしい声で喘いだ。
何が、”ルール”だ。
おまえみたいに股の緩い奴にゴムがいるのかよ、と言ってやりたくて、あやういところでファルクはとどまった。
それではまるで寝取られ男の言い草だ。
だがこのまま、いつもどおりにやるだけやって終わりというのでは、どうにも腹立ちがおさまらない。
「・・・・アズランとはどこでやった?シャワールームか?備品倉庫か?まさかここでじゃないよな?」
「な、なにいってる・・・・?」
「言えよ、おまえと俺の仲だろ?」
隠すようなことか?と軽口をたたくように言ってみせ、ファルクはゲープが特に好きなところを軽く擦ってやった。
「んっ・・・・、」
びくびくっと震えて、ゲープのそこがきゅうっと締まる。
「あ・・・・、あいつの・・・・」
「うん?」
あいつの部屋だ、とゲープは言った。
ナマで突っ込まれた怒りももう薄れたらしく、もっと突いて欲しい、というように自分から尻をもぞもぞと動かしている。
ねだりがましい仕草にファルクは昂ぶったが、聞いた言葉に頭の芯は冷えていた。
部屋で。
あいつの部屋で、抱き合ったのか。
(デミアとのキスが、気持ちよかった)
あんなふうに目のふちを赤くして、あいつとキスを。
それは、これまでの彼らの慌しい「処理」とは、あまりにも違っていた。
(なんでだ)
なんで、あいつと。
なんで、俺じゃない・・・・?
理不尽な怒りだとどこかではわかっていたが、もう抑え切れなかった。
(つづき)