*浮気なんかしてみる。

1
性行為の真っ最中だった。コニーがぴくりと動いた気がして、フランクは動きを止めた。
「……なぁ、コニー、もしかして、どこか体の調子が悪いか?」
フランクは、腕の中にいるコニーをじっと心配げにみつめている。
「いいや? どうした?」
「……いや、だって、あんた、今、動いたろ?」
フランクは、真剣な顔だ。

2
機嫌の悪い山猫か何かに噛まれたのだと、フランクは諦めてコニーとの時間を過ごしていた。
カスパーとの関係が行き詰ると、コニーはフランクのところへやってくる。そして、有無を言わせず新人をベッドに引き摺りこむ。
だが、フランクが下手なのか、コニーが不感症なのか、セックスはいつも寒々しい結果になった。
フランクは、コニーに少しくらいは感じて欲しかった。とりあえず、フランクは寝室の天井に、新型ライフルの仕様設定書を貼ってみた。

3
人生最大の危機に新人は直面していた。
デミアと寝ていたところを、コニーに見つかった。
フランクは、具合悪く、ゲープとデミアが痴話げんかしているところに居合わせてしまったのだ。そのあと、フランクは、デミアのいい八つ当たりの対象となった。
そこから、何故、同僚とベッドに縺れ込むことになったのか、もしかしたら、チーム50の呪いか何かとフランクは思うのだが。それにしても、デミアは、コニーに比べれば、随分感度がよくて……。と、さすがにそれについては、口を噤んでおくのが賢明であろうと、まるでモテる男のような朝を迎えてしまった新人も考えていた。

「どうして、ここに? コニー?」
「それは、そっくり、お前に返したいな。デミア」
顔を突きあせたチームの先輩格二人の険悪さは今にも手が出そうなほど最悪で、フランクは、自分の下半身の緩さについて、今すぐ土下座するべきかと焦った。
コニーが吐き捨てた。
「俺は、俺のカスパーへの気持ちが揺らぎないかどうか、確かめたくて来ただけだ!」
「ああ、俺もだ。俺も、フランクと寝てみてよくわかった。やっぱり、俺が好きなのはゲープだった」

「……あんたたち、……二人とも……」