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*問題発言
ゲープは、割合正直な男であったが、特にデミアに対しては感情を隠し立てる努力をしなかった。
頭をガシガシと掻き、ふぅ、と息を吐き出したゲープが、全く正直に今日の反省を口にする。
「なぁ、デミア、俺は大口を叩き過ぎたな」
「さぁ? それほどでもないんじゃないか?」
デミアは笑う。デミアは、昼間の一言を気にし続けるゲープがかわいかった。
チームのリーダーとして、時には張ったりも必要だ。特に、どのチームも実力派揃いのGSG-9の中に置いて、トップチームで居続けるためには、それなりの駆け引きもしなければならない。
しかし、ゲープはそんな自分を許さない。
勿論、職場では、弱さを誰かに見せはしなかったが、二人きりになればゲープは心のうちをデミアに見せた。
シーツの中で、気持ちよくいかせてくれる、温かなデミアの体温は、ゲープを安心させるのだ。
「俺は、実際の俺よりも大きく自分を見せたかった。だが、事実より大きく物事を言うのは良くない」
デミアの顔を覗き込もうと身を捩ったゲープの動きに体を覆っていたシーツがずれる。
デミアの視線は、ゲープのある一点に吸い寄せられていた。
「……ああ、まぁ、……そうだな。……実際、こんな小さな奴だったのかと思われるのは、つまらないものだしな」