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*価値を認める。
ちょっとした意見の相違のはずだったのに、言い合う二人はどんどんとエスカレートしていた。
「ゲープ、お前がそんな風に考えるんなら、俺はもうお前のチームでやっていけない!」
デミアに怒鳴られ、ゲープは床を蹴った。「くそっ! 失敗だった!」
「畜生! 俺はアンホフの忠告を聞いておけばよかったんだ。そうしたら、俺はデミア、お前をチーム50に入れなかった。そうしたら、今、ここで言い合うこともなかった!」
「なんだって!?」
新事実を突きつけてきたゲープに、デミアは苛立ちのままちらりと部屋の外へと目を向け、作戦本部にいるアンホフを視界に捕らえる。
「アンホフは俺がチーム50に加わることに反対だったのか?」
ゲープは言う。「そうだ。アンホフは、デミアはチーム50には合わないとしつこく反対していた!」
二人は睨みあう。
激しく言い合う隊員の様子を気に留めていたアンホフは、デミアの視線を感じたことをきっかけにドアを開け、二人に近づいて来ていた。
「なんてこった!」
GSG−9の隊員として相応しくない二人の行動をたしなめようとドアに手をかけていたアンホフは聞いてしまった。
「アンホフなんて、安全な場所でクソみみっちい作戦を立ててるだけのジジイかとばかり思ってたのに! ああ、ゲープ。このことについては、俺は間違いを認めてやる! だがな!」