*チームの秘密

フランクは、ゲープから付き返えされた突入用の配置図を前に唸っていた。
「……なんでだ? これでいつも通りだろ? これ以上どう工夫しろってんだ?」
図の玄関口には、ゲープ、デミア。裏口をコニー、カスパーに任せ、健気にもフランクは侵入の面倒な二階に自分を配置している。
「なぁ、カスパー、これ、いつもとどう違う?」
通りがかったカスパーの裾を捕まえ、フランクは聞く。
後ろをついて来ていたコニーは、カスパーよりも先にフランクの手元を覗き込んだ。
「フランク、お前、実は普段、全くなにも見てないな」
コニーは、突然言い出した。
「Aの犬は普段、時速10キロで走る。Bの犬は20キロだ。さて、この二匹の犬が同時に走りだしたとしたら、どちらが早い?」
「Bだろ」
「違う。そんなのAとBの犬が何を追っているかによって違うに決まってる」
コニーは、こじ開けたドアから一番に突入するデミアと、その背を守るように走り込む予定にになっていたゲープの位置を入れ替えた。
「フランク。これが、うちのチームが一番迅速に動く配置だ。動物は、好物を追っている時が一番早く走るんだ」