小話26

 

*本日のチーム50。

 

「って、ことだ。いいな。フレディ、フランク」

デミアの発案をゲープが認め、出した指示に、フレディと、フランクは頷いた。その一瞬後に、二人は立ち上がろうとしたのだが、重い沈黙がその場を支配しており、つい、立ち上がり損ねた。

すると、デミアが、二人を見据え、顎を突き出した

「お前ら、返事もしねぇで行く気か?」

「はっ!? 今、頷いただろう!」

フレディが、噛みつく。

「は? じゃぁ、空っぽのお前らの頭がカラカラ鳴る音を、注意深く俺たちは聞いてなくちゃいけないってことか?」

 

「よせ。フレディ、いい。デミア、わかった。ゲープ、作戦はわかった。俺たちは、即座に配置につく」

「なんでだよ。あんなの言いがかりだろ、フランク!」

フランクに引っ張られ、フレディは引きずられていた。

「デミアは、夕べ、ゲープと喧嘩して機嫌が悪いんだ。普通っぽく見えるのかもしれないが、ゲープも、かなり機嫌が悪いから、今日は二人を刺激するのは良くない」

「そんなのおかしいぞ。フランク!」

 

*迷惑

 

夜中に、どんどんとドアが叩かれ、フレディは眠い目を擦りながら、ドアを開けた。

そこにいたのは、スポーツバックを一つ肩に担いだデミアだ。

「また、……なのか?」

思い切りフレディの眉は顰められた。こうやって、隊長とけんかした3番隊員に夜中に転がりこまれるのは、もう5度目だ。

「おお、またさ。フレディ、俺あての郵便は届いてないか?」

 

 

*フランク

 

フランクは懸命にフレディを弁護しようとしてくれていた。

「や、あの時、フレディの車は、50キロも出てなかったんです。向こうのチームの方がいきなり突っ込んできたんです。いや、違う。隣に乗っていた俺が証言します。スピードは20キロも出てなかった。いや、10キロくらいだったかも。や、あれは、もう、止まっていたといってもいいくらいだったと思います」

フレディは、フランクの肩に手を置いた。

「もう、いい。フランク、お前が、それ以上何か言うと、車がバックしだしそうだ……」