小話25 (2/21日こぶたチャットでの 刑 務 所 祭 り 連動企画)
*きっとアンホフさんは、頭が痛い。
「どうして、こんなところに入ることになったんだ?お前みたいな真面目な奴が、くるところじゃないだろう。仲間がさびしがってるだろ。」
看守は、真面目に刑務作業へと取り組むゲープの様子が不思議だった。
勿論、本物の囚人というわけでなく、潜入調査中の役柄として囚人を装っているゲープは作りかけの木工細工からちらりと目を上げた。
「多分、さみしくはないと思います」
ため息つきだ。
「なぜ?」
「……おかげ様で、仲間はみんなここにいるんです」
ゲープの身が心配過ぎて我慢できないデミアと、そのデミアが引き起こすイザコザが心配なコニー、コニーの貞操を心配するカスパー、そして、みんなが行くなら、俺も行かなきゃなフランクが、同刑務所で潜入調査の囚人役をしていた。
*気に入られた。
フランクは、小さく頭を下げ、自分に割り当てられた刑房に入ろうとした。
すると、同房の先住者が声をかけた。
「おい、お前、何年ここにいる予定なんだ?」
「……ああ、たぶん、15年くらい」
「そうか、若いの。俺は、25年なんだ。お前、下のベッドを使え」
不思議そうな顔をしたフランクに、にやりと先住者は笑った。
「そっちの方がドアに近い。お前の方が先に出るんだから、その方が便利だろ」
*そうやって思ってたのか……?
面会を装ってペトラ・ヘルムホルツがコニーを訪ねた。
美しいぺトラ・ヘルムホルツと、コニーが夫婦を装うことは、刑務所の外であれば、まわりにため息をつかせるだけだろうが、ここでは、ただ、注目を集めるだけだ。
「そうなの。わかったわ。じゃぁ、そうやって報告しておく」
簡潔に返事を返す知的な美人であるヘルムホルツの歯切れのいい言葉遣いも、この場には不似合いだった。
面会室の中のコニーの目が泳ぐ。
「心配しないで、コニー」
ヘルムホルツは頷いた。
「もう、本当に、あなたにはうんざり! 強盗未遂、強盗未遂、その上、また強盗未遂! そして、今度は何? 殺人未遂!? 全部未遂よ! あなたみたいに情けない人は、ボスも足手まといだと言ってる。どうして、そうあなたは何一つ上手くやることができないの!!」
*人気者
敬虔なクリスチャンであることが広まり、カスパーの元には、罪の意識に苛まれる受刑者たちがいろいろな告白に訪れていた。
「それで、ここから、出たら、何をするか決めたか?」
カスパーは、項垂れる受刑者たちに穏やかな牧師のように尋ねる。
「……ああ、もちろん、ここでの話を、俺は人に話さない。それで、次は、どこの銀行を襲う計画なんだ?」
将来の展望を持つことは、人に自信と希望を与える。
*すべては刑務官のために
刑務所見学に訪れた見学者が刑務作業中のデミアに声をかけ、尋ねた。
「あなたは何で、こんなところにいるんですか? 比較的まともそうに見えるのに」
「さぁ? きっと、俺がここにいないと、あいつらが俺が家に帰っちまったと心配するからじゃねぇの?」
*……あいつら!!!
アンホフ司令官は、ベンダーに、話しかけた。
「なぁ、ベンダー、ゲープから手紙が来た」
手紙を手に、いかにも疲れた様子で自分の机に座るアンホフを、ベンダーは苦笑している。
「あいつら、真面目に務めているということで、刑期が半年短縮になったそうだ」
「それは、よかったですね」
ベンダーは、疲れたアンホフを優しげにみつめる。
「こうやって思ってはいかがでしょう? それは、いかなる場所であろうとも、あなたの部下たちが努力を惜しまないすばらしい隊員たちであるという立派な証明には違いありませんよ」