小話24(デミ←コニのデミコニ風味で)

*追伸

 

別地点で、対象を監視中のデミアから、コニーへと携帯のメール着信があった。

そのこと自体、まず珍しい。

開いてみれば、

『コニー、お前に会いたい。お前に会うためなら、俺は茨の道だって切り開く。大海原も泳ぎ切る。高い山すら越えるだろう。喉の渇きに飢えながら、砂漠も行く』

コニーは、思い切り眉をひそめた。

『追伸。今度の土曜、雨が降ってなかったら、2時に会おうぜ』

 

 

*唖然とする

 

狭いヘリの中だというのに、コニーと、デミアは、ヘリの音にも負けぬほど声を張り上げて、はげしく言い争っている。

「コニー、そういうこと考えるから、お前は馬鹿なんだ!」

「いつも、いつも、お前は馬鹿だ!」

ゲープは、いい加減、嫌になって割って入った。

「デミア、一回、聞こうと思ってたんだが、お前は、いつもいつも、コニーを馬鹿だと決めつけるが、それはどうしてなんだ?」

「は? そんなのこいつが、俺に惚れてねぇからだよ!」

 

 

*助言

 

ロッカールームで、いらいらとロッカーを閉めながら、伯爵様が言った。

「俺は、本当にデミアが嫌いだ。あいつは、俺を疲れさせる」

ロッカーが立てた音は、かなり大きい。

隣で、ジャンプスーツをハンガーにかける、カスパーはぼそりと助言した。

「コニー、だったら、デミアを追いかけまわすのをやめたらいい」

 

 

*信用問題

 

ポケットを探って、デミアは顔を顰めた。

「なぁ、コニー、5ユーロ貸せ」

「俺は、正直な奴にしか、金は貸さないんだ」

「じゃぁ、貸せよ」

「いいぞ。じゃぁ、今すぐ、その正直者をここに連れてこい」

 

 

*愛してる

 

「なぁ、コニー、俺と、チームの隊長であるゲープが一緒におぼれているとする。お前はどっちを助ける?」

休憩時間の無駄話だ。

「ゲープも、お前も泳げるだろう」

コニーは、デミアの無駄口を切り捨てた。

しかし、退屈なのか、デミアが食い下がる。

「泳げないとしてだ。なぁ、どっちを助ける?」

伯爵様は、ちょっと考える振りをした。けれど、その実、決まっていた答えを口にした。

「まず、ゲープを助ける」

「俺はどうするんだ? 決まってるだろ。助けられるのは一人きりだぞ?」

「そのあと、もう一度飛びこんで、お前と一緒におぼれ死ぬ」