小話22

 

*俺を信じろ!

 

普段3番隊員ばかりを自宅に招くことを気になっていたチーム50の隊長は、マヤの出かけた今晩、残りの皆に、夕食をふるまうことにした。

「俺が作るんだから、期待はするなよ」

予定のカレーには自信があるのだが、疑い深そうな顔でキッチンを遠巻きにする2番、4番、5番に、一応ゲープは謙遜しておく。

ゲープは、皆を呼びに行った。

「あのな……」

サラダの飾り付けが思ったほどうまくいかず、ゲープはぶっきらぼうに言い訳しようとした。

だが、

「大丈夫だ。ゲープ。もう用意はできてる」

コニーの後では、ちょうどリッシーのコートのボタンをカスパーが掛け終わったところで、フランクは車のキーだって持って待っていた。

 

 

*俺は知らない!

 

今日はパパのところに泊まるんだと、職場でリッシーがやってきた。

しかし、ゲープもデミアも外に出ていて本部にいない。

仕方なく、コンスタンティン・フォン・ブレンドープ伯爵様と、カスパーが、リッシーの子守りを引き受けた。

だが、すぐコニーを呼ぶ声がある。

カスパー一人が残った。

カスパーは、椅子に座るリッシーが何度も指を口へと持っていくのに気づいた。

「リッシー、大きな子がそんなことしてると、おなかがまん丸に膨れて、風船みたいなお腹になるんだぞ」

 

戻ったコニーは、今度はカスパーが呼ばれていることを告げた。

リッシーがコニーに話しかけた。

「あのね」

「なんだい?」

コニーの目の端には、リッシーに気づき、廊下を大股で戻るゲープが映っていた。リッシーはゲープとは反対側から歩いて来る妊娠中でおなかの大きな女性職員を指差す。

「何したせいであのおばちゃんのおなかが大きくなったのか、私、知ってる!」

射殺しかねない勢いで糾弾する隊長の目に睨みつけられ、伯爵様の目は激しく泳いだ。