*伯爵様の親切心

街で殺人事件を追いかける刑事たちに比べれば、任務は特殊かもしれないがエリートには違いなく、
そして、警察機構というものは、おせっかいな人間が多いところで、生涯の伴侶を探すパーティはいくらでも開かれる。
「……悪い。今夜は飲みにいけない。顔を立てなきゃならない人なんだ」
訓練後のシャワーを浴び終え、腰にタオルを巻いたまま、Tシャツに袖を通すデミアがため息をついた。すると離れた場所でシャツのボタンを留めていたはずのコニーが振り返る。
「パーティか?」
「……ああ、そうだ。なぁ、フランク、どうだ? コニーは暇そうだ」
「いや、悪い。フランク。俺にはたった今、重要な用事が出来た」コニーは、デミアに早くジーンズを履けと急きたてる。「デミアに、とっておきのスーツをプレゼントしなくちゃならない」
デミアの眉間に皺が寄った。「いらないぞ。そんなの」
「いいや、デミア」
コニーはまるで確かめるようにじっと親友の顔を覗き込む。そしてチームのナンバー2の冷静さで諭すように言う。「スーツなしで、誰がお前に寄ってくるっていうんだ? うん?」