ダメだって、わかってた。14

 

鈍い明かりのついたバスルームの床で、オーランドは、ショーンの足元に膝を付いていた。

ショーンは、傲慢な顔をしてオーランドを見下ろしていた。

しっかりと立ち上がるペニスはちょうどオーランドの頭の位置にあり、ショーンの目は、興奮気味にすこし濡れていた。

オーランドは、ショーンの足を持ち上げ、片足づつ、手でシャボンをこすりつけた。

爪の長くなっている指先を一本ずつ、丁寧に洗う。

「オーリ」

ショーンは、甘い声でオーランドの名前を呼んだ。

オーランドは顔を上げ、揺れているペニスにちゅっと、キスをした。

「オーリ、足はもういい」

「ペニスは、さっき、洗ってあげたでしょ?」

オーランドは、せっかちなショーンを笑った。

だが、ショーンは、オーランドの手に任せていた足を取り戻すことで、優位な立場をも取り戻した。

ショーンは、膝をついたオーランドの太腿にかかとを乗せた。

そのまま奥へとつま先を進める。

「オーリ、じゃぁ、今度は俺が洗ってやろうか?」

にやりと笑ったショーンは、シャボンの付いたつま先で、オーランドのペニスを弄んだ。

つるつるとすべる指先が、濡れだしているオーランドのペニスの先を柔らかく撫でた。

ショーンの足は、オーランドの腹へとペニスを押し付けるようにして、すりすりと擦り上げる。

行儀の悪い足の動きに、甘い痺れを腰に感じたオーランドは、ショーンの膝へとキスをした。

「ショーン」

オーランドは、骨の形までいい膝小僧を腕で抱きしめ、濡れた産毛の太腿を唇で辿っていった。

捏ねるようにペニスを踏みつけてくるショーンの足を宝物のように腕に抱き、甘い声でショーンを呼んだ。

「ショーン、酷いことしないで」

「オーリ。お前、そうやって、見上げる顔は武器のひとつだな」

ショーンは、体を曲げて、オーランドにキスをした。

珍しく何度も繰り返されるキスは、シャワーの水滴を含んで、とても柔らかなものだった。

ついばむように、ショーンがオーランドの唇を挟んでいく。

「お前の目は、とても感情的だ。引きずられそうになる」

ショーンは、濡れたオーランドの髪を撫でながら、頬へとキスを繰り返した。

ショーンの髪から、オーランドへと水滴が流れ落ちた。

水滴は、オーランドの頬を伝い、胸へと流れ落ちていく。

オーランドは、気持ちのいいショーンの腕に頭を抱かれながら、このまま満たされてしまってもいいのか。と、自分に問いかけた。

ショーンは、これは、いつもの手だった。

魅力的な体を存分に使って、ショーンの抱えている問題、離婚について、煩いオーランドを黙らせることがこの行為の殆どの目的だった。

ショーンが、オーランドの感情に引きずられることなど、全くと言っていいほどありえなかった。

いつでもショーンは、自分で決めた。

オーランドは、まるで子供のように扱われ、ショーンの精神的な領域に口を出すことなど許されはしないのだった。

オーランドは、ショーンの開いた唇に角度をあわせた。

柔らかく噛むようにショーンの薄い唇を挟み込んだ。

「ショーン」

呼ぶ声で唇を擽りながら、柔らかなショーンの唇にキスを繰り返した。

ショーンの熱い息が、バスルームに篭った熱気を更に暖める。

「ショーン、そんなことすると、やめられなくなっちゃうよ」

オーランドがショーンと付き合っていく上で、自分に課していることがいくつかあった。

その一つは、出来るだけ、ショーンの立場を尊重するというものだった。

随分と大人の男を捕まえたのだ。

自分のいいように相手を振り回すことなどできないと、腹立たしい場面に遭遇するたび、オーランドは強く奥歯を噛み締めた。

「ねぇ、ショーン」

ショーンは、目元を少しだけ赤くし、満足そうに目を閉じていた。

ショーンは、もう、オーランドのペニスを足で弄ることもしなかった。

オーランドの舌が、ショーンの口の中に入り込んだことによって、両足でしっかり立っている必要があったのだ。

野蛮だった右足は、シャボンをつけたまま、床を踏んでいた。

オーランドは、ショーンに膝を付かせ、腕の中に抱きしめると、キスを続けた。

「今日は、ここでするの?」

オーランドの手は、ショーンの背中をまさぐり、ショーンの尻へと指先を伸ばした。

柔らかな肉を指先で持ち上げ、離す。

ショーンの尻の肉が、ぷるんと零れた。

オーランドは、更に手を伸ばして、掌全体で、ショーンの尻を掬い上げた。

「ねぇ、ショーン。このままここでしちゃおっか?」

オーランドは、ショーンの耳にささやきかけた。

ショーンの体がぶるりと震えた。

鼓膜を震わす息に感じた恋人の背を、オーランドは撫で上げた。

「気持ちのいいこと、しようよ」

オーランドの指先が、何度もショーンの腰を触った。

床に付いているショーンの膝が、強く閉じられた。

オーランドは、その足を開かせ、ショーンの股の間に膝を入れ込み、柔らかな太腿を挟み込んだ。

腰を揺すって、ショーンに続きを連想させた。

ショーンは性質悪く、オーランドに向かって、ぐいっと膝を進めた。

片足を立て、膝小僧で、オーランドのペニスを擦り上げる。

「オーリ、ゴムを取ってくるために、お前のこれ、一回出しておく必要がある?」

誘う顔で、オーランドの目を覗き込んだショーンは、長い指を惜しげもなく使いオーランドのペニスを掴んだ。

オーランドのヘアーをかき混ぜ、硬く勃起したものを扱いた。

指は、遠慮することも知らず、オーランドのペニスを好きなように弄ぶ。

先端の丸みからあふれ出している液体を親指が塗り広げ、唇はキスを待っているように開かれていた。

オーランドは、早い息を漏らしているショーンの唇を塞いだ。

自分もショーンのペニスへと手を伸ばし、同じように濡れている先端を指先で撫でた。

ショーンのペニスを握って、リズミカルに扱き上げる。

「・・・・ぅん・・・」

オーランドが、好きなショーンの部分の一つに、ショーンが声を出すことを嫌いではないということがあった。

鼻に抜けるような甘い声を出し、ショーンはオーランドに腰を押し付ける。

オーランドを黙らせようとする時のショーンは手管を惜しまなかった。

オーランドの手の中で、自分のペニスを擦り上げる。

「オーリ、もっと・・・」

「自分でも握る?」

睫を閉じることで頷いたショーンは、オーランドのペニスを握ったまま、もう片方の手で、自分のものを握った。

長い指をオーランドの手に重ね合わせ、上下に動かす。

開いている唇が、キスを望んで少し狭められる。

自慰めいたショーンの行動に気持ちを持っていかれそうになりながら、オーランドは、ショーンのペニスを扱いた。

勿論、キスを欲しがっている唇への奉仕も忘れない。

「ショーン、俺のはしてくれないの?」

ショーンのものを手の中で握り締めながら、オーランドは、自分もペニスに手を伸ばした。

ショーンの掌の上から握る。

「動かしてよ。ショーン。自分ばっかりじゃなくってさ」

ショーンは、オーランドの太腿を挟んだまま、もっと近くへ体を寄せた。

殆ど触れ合う近さで、オーランドのペニスを扱き上げる。

くちゅくちゅという水音が、恥ずかしげもなくバスルームに広がっていた。

乳首の立ち上がったショーンの胸が、オーランドの腕に押し付けられる。

温かいショーンの体は、オーランドに預けられていた。

 

「ショーンはいかせちゃうと、もう、付き合ってくれないからなぁ」

それは嘘だったが、オーランドは、ショーンのペニスから手を離すと、立ち上がった。

ショーンの目が不思議そうに、オーランドを見上げた。

開いたままの口から、赤い舌が見えていた。

舌は、色の薄い唇を舐めていく。

それは、ただのショーンの癖だったが、とても物欲しげに見えて、オーランドの腰をうずかせた。

「ショーン、ちょっと待っててくれる?」

上から見下ろすオーランドからは、口を開いたまま見上げるショーンは、まるで勃ち上がっているオーランドのペニスを口に入れたがっているように見えた。

オーランドは、不実な口を塞ぐ手段はそれもいい方法だと考えた。

思わず口元が緩んだ。

ショーンが、眉の間に皺を寄せるようにして、笑ったオーランドを軽く睨んだ。

オーランドは、冷たくなりつつある床に膝を付いたままのショーンを立たせた。

シャワーで、バスタブの縁を軽く流して暖めると、そこに腰掛けさせた。

「寒くない?」

「全然」

オーランドは、出しっぱなしにしたシャワーがシャボンのついたままのショーンの足にかかるようにした。

「転ばないようにしとかないと」

「人のことを年寄り扱いしてないか?」

オーランドは、元から吊りあがった形をしているショーンの目元にキスをした。

「せっかく、ショーンがさせてくれるって言うから、取って来る」

ショーンが笑った。

オーランドの行動を納得したようだった。

オーランドは背を向けた。

「オーリ、お前のこと好きだぞ」

ショーンが、オーランドの手を引いた。

その言葉は、何よりもオーランドが聞きたい言葉だった。

勃ってる最中の男が何を言ったところで、殆ど責任を追及できるものではないということなど、自身を鑑みても、オーランドにもわかっていた。

けれど、その言葉は、ハッピーワードだ。

オーランドは顔中をくしゃくしゃにして笑った。

たとえ、ショーンが離婚の話をオーランドにしなくても、多分、今日スタジオを訪れたショーンの探していた相手がヴィゴだったのだとしても、この言葉さえあれば、強引に目を瞑ることができる。

「俺も、ショーンのことが大好きだよ。すぐ、戻ってくるから、気が変わったとか、言わないでよ」

オーランドは、乾き始めている体にタオルを一枚だけ巻いて、バスルームを後にした。

 

ショーンは、シャワーの雨粒が緩く叩く床に両手をついていた。

大きな手が、床に張り付くように広がられている。

オーランドは、白く大きな尻を掴んでショーンを揺さぶっていた。

「・・・・ぅんんん・・・ぁあ・・・あ・・・」

ショーンの頭はしきりに左右に振られていた

堪えることを知らない声は、白い歯の間から、とどまることなくあふれ出していた。

シャワーは、オーランドの背中ごと、ショーンを包み込んでいた。

その水流さえも肌を愛撫するのか、ショーンは、甘い声を止めることを知らないでいた。

ショーンの腕を水滴が転がり落ちる。

「ショーン、いいよ。すごく気持ちいい」

オーランドは、ショーンの尻の肉を掴んで、大きく左右に分けさせながら、ぐいぐいと奥へと押し込んだ。

先ほどから、オーランドのペニスが、ショーンのなかのいい部分を圧迫するように動くせいで、穴は、何度も強くオーランドを締めてつけていた。

ペニスで感じる快感よりも、強い性感に、ショーンの体は何度か攫われていた。

ピンク色に染まった背中が、よじれていた。

よじれるたび、中にいるオーランドは、激しい締め付けを味わった。

絡みつく肉の間から、オーランドはペニスを引き抜き、ショーンの尻に腹を打ちつける。

「ショーン、満足してる?」

ショーンは、下を向いたままうなずいた。

激しい息が、パスルームの中に落ちていた。

「ショーン、声に出して言って。オーリのペニスが気持ちいいって、ちゃんと言って」

「・・・ぁ・・・気持ち・・・いい」

ショーンは、腰を突き出すようにして、尻を高く上げた。

シャワーのぬるいお湯が、ショーンの腰からうなじにかけて、流れていった。

色づいているショーンのうなじが、強烈な色気を発していた。

オーランドは、ショーンの足を両手で掴み、腰の動きを強めた。

尻の穴は、呼吸のたびにオーランドを締め付けるほどの頻度だった。

ショーンは、強く感じている。

 

ショーンはもう、慣れてきていた。

尻で、オーランドを味わい、楽しむことを体得していた。

お湯だけでなく、噴き出した汗でも湿っているショーンの股の間にある薄い毛に自分のヘアーを擦りつけながら、オーランドは、満足していた。

ここが、気持ちがいいことを教えたのは、オーランドだった。

指で弄られ、感じることができるということは、ショーンだって知っていた。

だが、それがあまり好きではなかったらしいのだ。

そのショーンを、尻の穴の中をペニスで擦られるために、四つん這いになってもいいと思わせたのは、オーランドに違いなかった。

ショーンは、尻の穴のなかにある感じる部分を弄られたくて、オーランドに向かって尻を突き出している。

そこを弄られるのが好きになっている。

「ショーン、俺に擦ってって、お願いして」

「・・・オーリ・・・俺の尻を擦って・・・」

ショーンの声は、掠れていた。

「気持ちがいい?」

白い尻が、また強くオーランドを締め付けた。

「・・・・オーリにされるの・・・気持ちいい・・・」

ショーンは、体の中を擦り上げていく力強いものに、激しく頭を振った。

 

ぱんぱんとショーンの尻をオーランドの腹が勢いよく打った。

肉を押し開くようにして、ずぶりと差し入れられるものは、ショーンの体の中を強引に占領した。

「ああっ!・・・あぁ・・・んぁあ!」

狭い肉の狭間に、オーランドのペニスが押し入り、前立腺を擦り上げられる快感に、ショーンは夢中になっていた。

最初は、違和感と、重苦しさしか感じないことが嘘のように、オーランドのペニスが、そこを刺激するたび、体の中で快感が膨れ上がる。

ショーンの全身がピンク色に染まっていた。

「・・・・んんん・・・はぁ・・・ああっ・・・オーリ・・・」

ペニスだって、はちきれそうに膨れ上がっていた。

「ショーン、感じてるね」

「・・・ぁあ!ああ!・・・・オーリ!・・オーリ!・・・」

ショーンは、オーランドが体を自由にすることを許容した。

オーランドは、ショーンの長い足を両手で掴み、前へと倒れ込みそうになっているショーンを引き寄せた。

ショーンの尻は、もうたまらないというようにめちゃくちゃに振られていた。

ショーンの頬は濡れた床に押し付けられていた。

開いてしまっている口を濡らすのは床から跳ね上がる水滴だけでなく、ショーンの閉じきらない口からこぼれる唾液のせいもあった。

オーランドは、しずくを零すショーンのペニスに触れた。

ショーンが、びくりと体を強張らせた。

「ダメだっ・・・いく・・・いくっ!」

ショーンの尻が、強烈にオーランドを締め付けた。

手のなかのペニスもどくんと脈打った。

「ショーン」

オーランドは、ショーンを感じさせたくて、ぬるぬるのペニスを手で擦った。

「触るな・・・ダメだ・・・触らないでくれ!」

ショーンは昇りつめてしまう自分を何とかしようと、オーランドの手から逃れようとした。

オーランドは、ショーンの腰を引き寄せ、突き上げを強めながら、たらたらと先走りを零しているペニスを扱いた。

「いいんでしょ?気持ちいいでしょ?」

「いくっ・・・・だめだ!オーリ!・・・・いくっ!!」

振り向いたショーンの目が、切羽詰まったようにオーランドを見上げた。

きれいな顔が、射精を堪え、苦しそうに歪んでいる。

「わかった。ショーン。わかってるから。だしちゃっていいよ」

ショーンは懸命に首を振った。

だが、オーランドは、ショーンが射精しやすいよう、手の中のペニスをぐちゅぐちゅと扱いた。

中からと、外から、両方の刺激に耐えられないショーンは、痙攣するような強さで、オーランドを締め付けた。

「・・・ぁああっ!いいっ!・・・・いくっ!いくっ!・・・ぁああっ!!!」

びゅっと、精液が、床を濡らす。

オーランドは、搾り出すようにショーンの性器を扱き上げ、中の突き上げもやめなかった。

「・・・ぁぁあああぁっ!ぅん・・・ぅぁあぁ・・・・ぁあっ!!」

ショーンのペニスは、べっとりとオーランドの手を濡らした。

尻は、まだ、オーランドを締め付けている。

オーランドは、自分の中にこみ上げてくる射精感を耐えてしまった。

「ショーン・・・」

オーランドは、緩やかにショーンを揺さぶりながら、快感でぼんやりと放心した緑の目が濡れているところを見られないことをつまらなく思った。

シャワーのお湯が、ショーンに噴き出している汗を流していた。

オーランドが気長に、ぴくぴくと震える背中にキスを落としていると、ショーンの尻がゆっくりと緩みだした。

喘ぐようだった息も治まる。

「すごく、感じてたね。ショーン」

オーランドは、けだるさを見せるショーンの負担にならないよう、ゆっくりと腰を動かした。

ショーンは、オーランドに尻だけを持ち上げられるような格好のままだった。

その姿で、ため息を落とし、不満げに肩を落とした。

「どうした?なんか嫌だった?」

「・・・・また・・・俺だけかよ・・・・」

ショーンは、不機嫌な様子だった。

首を後ろにねじり、自分の尻を抉っているオーランドのペニスがまだ硬いことを目でも確認すると舌打ちした。

「オーリ、お前、なんでいかないんだ」

それは、尻を弄られることで感じることが出来るようになったショーンの方が早く快感を昇りつめてしまうからだ。

オーランドに十分余裕のある間に、ショーンは射精に至ってしまう。

「なんで?いいじゃん。ショーンが気持ちいいのが一番でしょ?」

「畜生。最初は、いつだって、お前の方が先にいってたのに・・・」

ショーンは、もう一つ舌打ちをし、床に手を付くと、体を起こした。

尻に力を入れ、オーランドを締め付けた。

「ほら、さっさといけよ。俺だけなんて、格好悪い」

「そんな。ショーンに気持ちよくなって欲しくて、頑張ってるんだよ。感じてくれることが、一番幸せだよ」

涙の余韻を残したショーンの目が、オーランドを睨んだ。

「それでもだ」

ショーンは腰がふらふらになっているくせに、オーランドのために尻を上下させた。

オーランドは苦笑して、強情なショーンの肩にキスをした。

 

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