ちみCSI(本家)
1
大きな事件をあちこちに敵を残す形で終わらせたばかりのCSIチームの一員であるキャサリンが、新聞を片手に大またでグリッソムの部屋のドアを跨いだ。
入り口で立ち止まり、実にゴージャスな作り笑顔を浮かべる。
「グリッソム主任。あなた、新聞にあなたの死亡通知が載ってるのはご存知?」
読んでいた法医学ジャーナルから目を上げたグリッソムは、まるで天使のような、見ているものを落ち着かなくさせるあの笑みを見せた。
「それは、キャサリン。手間をかけさせて悪いんだが、花を贈っておいてくれないか?」
キャサリンは肩をすくめると、ちょうど入ってきたニックに新聞を渡して出て行った。
2
「で、その花は何なの? チーフ?」
隙間のあるチャーミングな歯を覗かせながら、サラは実に好奇心に満ちた目で机に座るグリッソムの顔を覗きこむようにした。
グリッソムは、餌をやっていた生きている昆虫たちの飼育箱から目を上げ、そして手は、今度死んでいる昆虫たちの標本箱へと伸びる。
「ひまわりなんて、全くチーフらしからぬチョイスね?」
大抵の訪問者を恐怖に陥れるグリッソムの宝物たちの間に、その花はあまりに場違いだ。
「ああ、これか。グレッグからのプレゼントだ」
「へぇ、なんで?」
「だってさ、サラ!」
ラボに住む、髪を立てた科学者はサラを相手に引きつった顔だ。
「死亡通知のこと知らせがてら、何の花を贈りましょう?って冗談で言ったら、チーフがいつものあの顔で、そうだな。君らしい花をぜひ贈ってくれたまえって!」
冗談のつもりなのかどうなのか、僕にはさっぱりわかんなかったんだよ!と、グレッグは、サラの顔に真実でも探すように真剣だ。
3
「ニック。君の証拠から、DNAが検出されたよ」
休憩室でウォリックと、コールタールに何かやばい薬品でも混ぜたような味のコーヒーを啜っていたニックは、ひょいっと顔を覗かせたグレッグに、勢いよく椅子から立ち上がった。
「サンキュー。グレッグ」
しかし、グレッグは歩く吉報/凶報ジョークだ。
「あ、でも、あんなんじゃ全く役に立たないと思うんだけどね。……ねぇ、ウォリック、君がチーフに花を贈るなら、やっぱ、白バラ? チーフもそのくらいの花を期待してたんだと思う?」
END