*腹一杯だ
チェイスは暖かく差し込む朝日を部屋に取り込むため、大きくカーテンを開けた。
「さぁ、そろそろ起きましょう。ジャック」
珍しく寝坊の上司は、まぶしい光にベッドの中で悪態をつく。
「ほら、起きて。ジャック。朝ですよ。何がご希望ですか?」
ベッドの脇にチェイスが立ち、その影がジャックを覆うシーツの山に陰りをつくった。ジャックは大きくあくびし、それからチェイスの顔があまりにも楽しそうに自分を覗き込んでいるのに気付いて、目を反らした。毛布の中に戻りかける。だが、確かにそろそろ起きるべきだった。腹が減っている。
「俺の好きなものくらい知ってるだろ? チェイス」
ジャックはベッドから起き上がろうとした。しかし、ぎしりとベッドが鳴り、照れくさそうな笑顔のチェイスがジャックをベッドに押し留めるようにして口付ける。そして、上司の下半身へと手を伸ばす。
「ジャック。……、しょうがないな」