定年後、ゴルフに耽る。



ゴルフダイジェスト社(ゴルフダイジェスト新書)
2008年6月22日初版第1刷発行
定価(本体904円+税)

全国書店のゴルフ書コーナーにて発売中


<内容紹介>

『定年後は、ゴルフ旅で幸せな生活を送りたい!』
10年前にリンクスゴルフに魅せられ、イギリス・アイルランドを中心にリンクス巡りを続けている元サラリーマンゴルファーが、 自らの体験をもとに、旅ゴルフの魅力と、手作りゴルフ旅行をするための知識や「技」をアドバイスしていく。

<目次>

第1章 今や手づくり旅の時代
かつて手づくり旅は難しかった/手づくり旅はやさしくなった/「旅の技」を磨く/多くの方がリンクスへ旅立った

第2章 旅を企画し手配するのが愉しい
まずは「旅の8項目」を検討/旅のテーマを決める/季節を選ぶ/コースを選び順路を決める/航空機を予約する/乗り継ぎについて一言 /手荷物について一言/宿は『レッドガイド』で選ぶ/レンタカーを予約する/旅は道連れ/持参するギアについて/予算を立てる

第3章 現地のことを詳しくお話ししましょう
イギリスは避暑地/イギリスに来るとやすらぐ/リンクスは神の恵み/ラフあってこそのリンクス/セルフプレーはトロリーを引いて /リンクスでマッチプレーをする愉しみ/イギリスはなじみやすい/イギリスは美味しい /地図さえあればどこへでも行ける/イギリスのドライブ/パソコンを持参する

第4章 いざ出かけよう、リンクスランドへ
9日間を基本とする/旅の切り口をはっきりさせる/プラン1「ゴルフの歴史を辿る」/プラン2「聖地巡礼」/ プラン3「最高評価のコースを巡る」/プラン4「ジ・オープン観戦」/プラン5「風の歓迎」 /プラン6「ハイランド周遊」/プラン7「ウェールズ縦断」/プラン8「ロンドンから足を伸ばす」

第5章 リンクス滞在の旅はこう組む
今やガランは第2の故郷/自由気ままに過ごす/長期滞在を愉しむコツ/滞在プラン1「聖地に滞在」/滞在プラン2「奥ハイランド」 /滞在プラン3「アイルランドの首都ダブリン」/滞在プラン4「コーンウォール半島」/滞在プラン5「奥アイルランド」

第6章 スコットランド滞在記〜小さなゴルフの街に暮らす〜
愉しさは予想を超えていた/エディンバラ・フェスティバル/トワイライトゴルフにはまった/全英ミッドアマチュア選手権を観戦 /ヤングジェントルマンとの対決/隣人スクラッチゴルファーのお誘い/ガランGCのヘッドプロに教わった/名門のクラブライフ /フォーサムは盛り上がる/スコットランドで生まれ変わる

おわりに――新しい人生の出会いを求めてリンクスを歩こう

<はじめに>

イギリスやアイルランドの海沿いには、リンクスランド(Linksland)と呼ばれる、長い芝草と潅木に覆われた、起伏に富んだ広大な砂丘地帯があります。 ゴルフ以外には何の役にも立たないのに、ゴルフには最適という不思議な土地です。 このリンクスランドの芝草を刈っただけの、野性味あふれるコースが、リンクス(Links)です。

 10年前、ゴルフが生まれた土地を直に知りたいという思いが募り、スコットランドを初めて訪れて、マクリハニッシュをはじめとする6カ所のリンクスを回りました。 そして、ただちに自然と対話するリンクスゴルフの魅力に引き込まれたのです。それ以来、渡り鳥のように毎年リンクスの地に向かうようになりました。 レンタカーで千数百キロを移動しながら、ひたすらリンクスを歩き続ける「緑の遍路」になったのです。

 10年前は、僻地にあるリンクスへ行く旅を自分で手配するのは、旅慣れたぼくでも大変でした。どこにどんなリンクスがあるのかさえ、わからなかったのです。 予約には電話かファクスしか使えません。ファクスがない宿もあり、英会話力が必須でした。

 しかし、情報化社会の到来で、旅の手配はぐっと楽になりました。自宅に居ながらにして、インターネットを通じて、必要な情報が簡単に手に入るようになったのです。 航空機も宿もレンタカーも、インターネットで簡単に予約できます。 イギリスに特有の「B&B」(ベッド・アンド・ブレックファスト)と呼ばれる家族経営の小さな宿でさえ、インターネットで予約できるようになりました。

 英会話が苦手な方でも、時間をかけて英文を読んだり書いたりするのは、それほど難しくないはずです。 国境を越えた旅行でも、国内旅行とまったく変わらない手軽さで、自分で手配できるのです。 なかでもゴルフコースの予約は簡単です。ほとんどのゴルフクラブが予約サイトを持っています。 自分のパソコンでコースのホームページを検索して、予約サイトを開き、必要な情報を入力するだけで予約が整います。

 リンクスへの旅は決して難しくありません。留学や外国滞在の経験などは不要です。英語も片言で十分なのです。 少し勇気を出せば、誰でも手づくりの旅ができる時代が来ました。奥様や友人を誘って、リンクスへ気軽に出かけようではありませんか。

 リンクスを訪れるパック旅行がありますが大変高価です。プレーするのが旅行代理店と提携している高級ホテルに付帯した有名リゾートコースばかりだからです。
 セントアンドルーズ・リンクスのオールドコースでのプレーが保証された150万円もする高価なパック旅行があります。 実情を知っているぼくにはとてつもない話です。オールドコースは公営なのですから、プレー枠の半分は抽選になっています。 この抽選に応募すればよいのです。また、朝早くスタート小屋に行って並び、枠が空いている組に入れてもらうことも可能です (詳しくは本文第4章を参照ください)。

 ぼくがお勧めするのは、気持ちのよい小さな宿に泊まり、同好の士の集まりであるゴルフクラブにちょっとお邪魔をしてプレーをさせてもらい、 クラブライフの雰囲気を味わう旅です。プレーの後、ビールを飲みながらクラブの会員たちとおしゃべりをする機会もあります。
 旅の企画を立て、航空機とレンタカーと宿とコースを予約し、キャディバッグを担ぎパスポートを持って空港へ出かけるだけです。 現地の空港で予約済みのレンタカーを受け取り、よく整備され走りやすいイギリスの道路に乗り出せばよいのです。 北海道にゴルフ旅行に行くのとなんら変わりはありません。

 イギリスやアイルランドはなじみやすい国です。車は左側通行で、言葉は何年も勉強してきた英語です。道路標識ひとつとっても、英語なら読んで発音できます。
 書かれている言葉を正しく発音できないと意思疎通に苦労します。 フランス語を正しく発音できないぼくは、フランスでタクシーに乗ると、紙片に行先を書いて見せなくてはなりません。 パリの地下鉄では、行先表示が整っているので、乗り換えで迷うことはありません。しかし、行先を発音できないとフラストレーションが溜まります。 街角で行先を尋ねる時も一苦労です。

 イギリスでの車の運転は日本よりはるかに楽です。高速道路は3車線が一般的で、レーンの幅は広く、路肩も余裕があるので安心して走れます。 また、運転マナーがよいのです。さすがに紳士の国だと感心します。追い越し車線をノロノロ走るような車は皆無です。 すれ違えない狭い道では必ず道を譲ってくれます。
 道路標識は見やすく、しかも案内標識が行き届いているので、地図さえあれば迷うことはありません。どこへでもスイスイと行くことができます。 我が伴侶は、巨大都市ロンドンの中心部に初めて乗り入れ、危なげなく走りました。

 イギリスやアイルランドではゴルフクラブは開放的です。米国の名門クラブや、廣野GCをはじめとする日本の名門クラブでは、会員同伴でなければプレーできません。 それに比べれば、現存する世界最古の格式高いゴルフクラブ、ジ・オノラブルカンパニー・オブ・エディンバラゴルファーズ (以下コース名のミュアフィールドで表記)でさえ、ビジターだけでプレーできるのは素晴らしいことではありませんか。 リンクスは公共財という考えがあるのです。ゴルファーならよだれが出るような名門コースを巡る旅が、少し努力すれば実現できるのです。

 自然のままのリンクスに身を置き、海からの風に身を任せているだけで、生き返ったような気がします。遥々やって来てよかったと思うのです。 ゴルフとは本来こんなに清々しいスポーツだったのかと感じます。 ゴルフの原点を体験し、ゴルフの真髄を理解すると、帰国してからもっと真摯にゴルフに取り組むようになります。 たった一度のリンクスへの旅が契機となって、ゴルフ人生が大きく変わるのです。

 惰性に流されているいつもの生活を、少しの間離れてみるのも意味があります。働き尽くめではよい仕事もできません。 リンクスで海風に吹かれてゴルフをすれば、体の底からリフレッシュできます。生まれ変わったような気分で帰国できるのです。 さあ、思い切ってリンクスへ向かう旅に出かけてください。

                                          平成20年4月

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