***************************************************************************************************

パール・ジャムの戦い (2) - ライヴ・ブートレグ

***************************************************************************************************

ブートレッグとは

まず、ブートレッグとは何をいうのか?
ブートレグのもともとの意味は「密造酒」ということらしく、禁酒法時代のアメリカで密かにお酒を作って売っていることから来ていることのようだ。
ようするに非合法の物であるわけで、本当は作る事はもちろん、買う行為だって犯罪になるわけだから、ブートレッグを持っているあなた! あなたは、れっきとした犯罪者です。なんて、堅い事は言いません。ライヴになかなか行けない人にとっては、ライヴ音源を聴く数少ないチャンスなんだし、過去のライヴを楽しむのに正規のライヴ盤だけしか聴けないなんてねぇ。でも、音質の劣悪なヤツもいっぱい存在してるん
で、買うときはよ〜く気を付けて買ってくださいね。
非合法な物としては
1. カウンターフィット
2. パイレーツ
3. ブートレグ
の3種類に分けられ、
1.のカウンターフィットは正規盤を音からジャケットまでをまるまるコピーして売るCDのことをさす、いわゆる『正規コピーもの』
2.のパイレーツは正規盤とは音もジャケットもいい加減に再生させて売っている物で、いわゆる『海賊盤』というやつですな。
3.のブートレグは、通常正規盤としては存在しないものをコピーして売っている物で、ライヴ音源などはその最たる例になるだろう。

ヨーロッパ・ツアー25公演全てリリース!

というわけで、世界にはびこるブートレッグ業者を一網打尽にしてしまおう。音質の悪いブートレッグを買うファンに安く良質なライヴ音源を提供しようと考えたのが、このパール・ジャムのライヴ・ブートレッグ。
この人たちのやる事はホント、バカ正直というか誠実というか。元々自分たちのライヴを録音したりすることを奨励していたバンドではあったが、ここまでやるとは。
2000年5月23日のポルトガルはリスボンの公演から例のロスキルデ・フェスでの事件前までの6月29日のノルウェー、オスロ公演の25公演まで、どの公演もCD2枚組で、平均2時間半から3時間はあり、16ドルという破格の安さ。しかも編集や修正は一切なしの完全収録。同じセット・リストは二つとないパール・ジャムだからことできるこの企画。
発売は9月26日に世界同時発売というから、ほんとタマゲます。
よっぽど自分たちのライヴに自信がなければ出来ないですよ、こんなこと。

さらに47公演も全てリリース

しかし、これだけでは終わらない。その後の全米での全47公演も2度に分けて全てCD化して発売し、その内の14タイトルをチャートのベスト200に送り込むという偉業を成し遂げてしまったのだ。
2度のリリースの間にDVD"Touring Band 2000"も発表。こちらは全公演というわけにはいかないものの、全米約20ヶ所からのベスト的なライヴ映像をセット・リストの流れを汲みつつ進めていくもので、その他にもプロモ・ビデオやオフ・ショットなどの映像が加えられた140分の充実した内容になっている。

ライヴ・ブートの原案は?

このライヴ・ブートは昔から作りたいと思っていたようだが、まさか本人たちも全公演をリリースするとは考えていなかったようだ。
元々の案ではメンバーが気に入った公演を選んで自分たちのホーム・ページ上で販売する計画だったようだ。
しかし、レコード会社がレコード会社を通さないことに反対し、仕方なく店頭での販売に切り替えていったわけだが、この企画を思考錯誤している間に「いっそのこと全部出しちゃえば? 出来の悪い公演があっても隠す必要もないし、ライヴをそのまま伝えることが一番大切なことだから」と思い直し、「全部出して、聴く人に自分の気に入ったステージを選んでもらえばいい」ということになったようだ。

まだまだ進化するライヴ・ブート

このライヴ・ブートレッグは2003年のツアーでも継続されることになった。
ツアーの最初であるオーストラリアと日本公演、その後の全米公演とまたまた全てリリース。
前回は店頭販売をしたために、人気のない公演のCDが大量に残ってしまったため、今度は当初の計画通り、インターネットを使ってオフィシャル・サイトwww.pearljambootlegs.comにアクセスし、好きな公演を注文するという方法を取った。(英語がわからないとチョット厳しいかな?)
注文すると、公演終了から24時間以内にMP3がダウンロードできるサイトが教えてもらえるため、自分の行ったライヴの公演を注文すれば興奮冷めやらぬ状態で、その時のライヴを良質な音で再び聴く事ができるという優れもの。もちろん2枚組のCDも後日郵送されてくる。
これで価格がファン・クラブ会員で12.98ドル、非会員でも14.98ドルと、さらにお得な価格設定になっている。
店頭販売は日本の武道館公演など一部に絞って販売されるようで、ネットでは買えなかったファンにもちゃんと対応しているあたりは、やっぱりパール・ジャムらしい。
今後はライヴ映像についても同じことをしようと考えているようだから、DVDでの全公演リリースも実現する日は近いかも。
このライヴ・ブートの企画にはストーンズやU2といったアーティストも興味を示しているという噂もあるだけに、今後の音楽市場を大きく変えるかもしれない可能性を秘めているのではないだろうか。

ピーター・ガブリエル、デュラン・デュランも

そして、このパール・ジャムの企画がついに他のアーティストにも影響を与えた! ピーター・ガブリエルやデュラン・デュランの公演が同じようにインターネットを通してUS$25で購入できるようになっている。TheMusic.comにアクセスすれば、パール・ジャムと同じように好きな公演のCDを入手できる。だが、この25ドルっていう値段がやっぱり、パール・ジャムの15ドルとは違って、営利主義な部分を感じるんだよねぇ。
この値段だけ見ても、いかにパール・ジャムがファンのために始めた企画であるかということがよ〜くわかるんじゃないだろうか。


このページのトップに戻る

Pearl Jamに戻る

home