マイ・フェイバリット・ヘッドエイク
アブラハム平原に立つ一人の男が
傷付けられた日の出を見ている
一人の男が立っている
静かな崩壊へと向かう崖淵に
僕は海を見つめている
いくらかでも、僕をここにつなぎ止めておくために
僕は海をじっと見ている
少しでも、ここにいる理由になるだろうから
隠れ出したら、
ずっとそうしていなければ
パラノイアが静まるまで
見始めたら、もうやめられない
身動きが取れなくなるほど、
魅了されてしまうまで
どっちにしたって、今は
氷河期の狭間を生きているに過ぎない
語りたかったけれど
言うべきことは、多すぎるほどありはしない
そんなに虚無的になるつもりはなかったんだ
もし僕があまりに現実主義的に見えるようなら
許して欲しい
一度走り始めたら
ずっと走り続けていくんだ
筋肉が悲鳴を上げ、壊れていくまで
一度落ち始めたら
ずっと落ちつづけていくんだ
冷たい、冷たい地面に叩きつけられるまで
僕はテレビを見ている
君は僕に、何をして欲しいんだい
僕はテレビを見ている
君は僕に、何を求めているんだ
どっちにしたって今は
二つの氷河期の狭間を生きているだけ
話し合いたいけれど
言いたいことは、それほど多くない
そんなに虚無的になるつもりはなかった
もし僕があまりに現実主義的に見えたなら
許して欲しい
隠れ始めたら、ずっと隠れ続ける
絶対安心だと確信できるまで
いちど見始めたら、ずっと見続けている
身動きが取れなくなるほど
呪縛されてしまうまで
僕は海を見つめている
いくらかでも、僕をここにつなぎとめてくれるから
僕は海を見つめている
いつかテレビで見たように
ザ・プレゼント・テンス
今を生きている
過去を失った時
未来も意味をなくすだろう
君は現在時制の中に生きている
非難すべきものは何もない
重大な犠牲者がいるわけでもない
今を生きているんだ
這い出していく
守られた気分で、大胆に
無邪気な思いに浸って
目の前に迫る混乱の中へ
突然、視界はより鮮やかになり
今までとは違う世界の中に生きているのだと気づく
今を生きている
過去を失った時
未来も意味をなくすだろう
君は現在時制の中に生きている
非難すべきものは何もない
重大な犠牲者がいるわけでもない
今を生きているんだ
君が言ったこと
そのために、僕は外に踏み出していけた
その瞬間
僕の回りの世界で
視界が隅から隅まで開けた
目を開けてごらん
その可能性に手を伸ばして
君の世界の外側にある
いくらかの現実を認識してみるといい
静かな宇宙では
瞬間があまりに生々しすぎて
君はほとんど耐えられない
遠く離れた宇宙では
あまりに僕らとかけ離れすぎて
驚き、不思議に思わずにはいられない
混み合った宇宙では
話す声は騒音と化して
君は笑い出しそうになる
ウィンドウ・トゥ・ザ・ワールド
僕は飛んで行こうとしていた
君のもとに行きつこうとして
君は姿を隠していた
こんな状態のまま、僕を悩ませて
あの窓をおくれ
あの窓が欲しいんだ
世界へと通じる窓が
僕らは海を渡っている
エーテルの海に棹さして
君は後ろからずっとついてきて
君の至福のヴィジョンで
僕を躓かせつづけた
これよりほんの少しだけ多く
あれよりは、こころもち少なく
君はその手で魔法を操る
これよりほんの少しだけ多く
あれよりは、こころもち少なく
僕もこの手に魔法をつかんだ
君がそうさせたんだ
僕はこの場所を見つけた
君のインスピレーションで
あの窓をおくれ
あの窓が欲しいんだ
世界へと通じる窓が
ワーキング・アット・パーフェクト
ラインを引くんだ
強く、鮮明に
君の意思でそれを曲げてみろ
表面に刻まれたすべての線を
そのままずっと残すことも難しい
欠陥がみな消えてなくなるまで
間違ったことが消えてなくなるまで
すべての誤りが、みな消えてなくなるまで
完全なる仕事に
僕は跪かずにいられない
成功も失敗も
ただ程度の差に過ぎない
成功から失敗まで
それはただ、程度の差というだけ
日々の彩りが
いつのまにか消えてしまった
宇宙のすべての色彩が
思ったより近く感じられる
そう見えるほど、実際は近くないのか?
そう見えるだけで、本当は近づいてはいないのか?
完全なものなど、ありえない
僕がそうでないことは、確実だ
成功から失敗まで
それはただ、程度の差というだけ
完全なる仕事に
僕は膝を屈せずにはいられない
でも、それは正当なんだ
雨が正当なのと同じくらいに
正しくあった時には
苦痛はなくなる
正しくあれたら
もう一度出直せる
完璧なる仕事は
君を跪かせてきた
成功も失敗も
たんに程度の差というだけ
ランナウェイ・トレイン
愛のない部屋に
咲き出でる花など、何もない
君が自ら望まなくては
君が望まければ始まらない
無関心が支配する場所では
誰が愚か者なのだろう
君が自ら望まなくては
君が望まなくてはならない
君がそう欲しない限り
ずっと同じであり続けるだろう
心に潜む闇が
ゲームをしたいと望んでいる
果敢に抵抗しない限り
ずっと狂気のままだろう
すべてを受け入れ続けるなら
同じことが繰り返されるだけだ
悪意が支配する場所
それより苛酷なものはない
自ら望んでごらん
そう欲してみるんだ
ぶつけられた傲慢さから
身を守るすべはない
自ら望まない限りは
そう欲してみることだ
君がそう欲しない限り
ずっと同じであり続けるだろう
心に潜む闇が
ゲームをしたいと望んでいる
恥じる思いを捨てられたら
驚くかもしれない
そして太陽は昇り始め
また新しい、無気力な一日が始まる
心が痛むのなら
恥じる気持ちを取り去ってごらん
自分の意志をしっかり持って
君の魂を奮い立たせて
非難を跳ね返すんだ
君にはその権利がある
ジ・エンジェルス・シェア
天使たちの領分
宇宙の神秘
めったに公平ではない
祝福されるものも、呪われるものもいる
僕らが知りえない
そう言うすべてのことについて
夢を巡らせたり
推測してみようとする
たぶんそれは
空の彼方から見下ろしている存在にのみ
許される神秘なのかもしれない
僕らはただ、人類の一員でしかないのなら
超自然的な場所から来た、超自然的な存在ではありえないなら
解けない問題を抱えていたら
僕のところに言いに来ておくれ
天使たちの領域
人類のあらゆる神秘
天の歴史における盗人たちに
捧げる祈りなどありはしない
誕生と同時に僕らが忘れてしまった
完全なる英知の神話
悪意をはらんだ一種の共謀
天使たちの永遠のジョーク
ムーヴィング・トゥ・ボヘミア
そこでは空気もきれいではなく
水は緑色に輝き
犬も意地が悪くなる
ボヘミアに移って行くところさ
君を一緒に連れて
郊外に別れを告げるといい
もう芝生は刈らなくていいから
こことは違う場所を夢にみていた
いつもと違う表情の君を夢にみた
絶望にかられたような叫びが聞こえた
君はたぶん、そこで見つけたものが気に入る
そんな気がする
そこでは僕たちがテレビに出ていて
お金は木になっていて
ビールはただなのさ
ボヘミアに移って行くところなんだ
君を一緒に連れて
ユートピアに別れを告げるといい
立ち去る前に、手を振ろう
こことは違う場所を夢にみていた
いつもと違う表情の君を夢にみた
熱望に高鳴る胸の鼓動が聞こえる
熱気を感じるんだ
今が、僕らの旅立ちの時だと
僕らの始まりの時だ
ボヘミアに移って行くところなんだ
そこでは文学は卑猥になっていく
強烈な幸福感に浸りながら
そこではスクリーンの上に
赤裸々な真実が浮かんでいる
ホーム・オン・ストレンジ
彼はチェンソーを側において眠る
無法者のような目つきをして
彼は軽い散歩をする
話をするのは、好まない
彼は変化を好まない
彼は変化が好きじゃない
少々イカれた奴にみえるかもしれないが
それが奴の性分なんだ
奇妙だけれど、彼のスタイルなのさ
彼はカナダの偶像
服を着たまま眠る
自らの手で働くのを好み
彼は政治嫌いな奴だ
生涯に、一つのもの
世界に、一つのもの
彼はチェンソーを側において眠る
彼は適当な歌を歌う
自らの手で働くことが好きで
政治にはまったく無関心な奴だ
スリッピング
君に言うつもりだった
最初に、言おうと思っていた
この浅薄な心の中を
君に見せるつもりだった
でも僕は見つけられなかった
言うに値するだけの言葉を
僕は道を踏み外した
何処かでずれてしまった
そこにいようとした
君が倒れた時、そこにいられるように
人生が君に自分は小さな存在だと思わせた時
君は大きな存在なんだと、そう感じさせたかった
でも僕は見つけられなかった
間に合うように、すばやく踏み出す一歩が
物事を変えたい
空気を清浄にしたい
僕らの回りにある
ひどく修理が必要なものを
直していきたい
でも、僕は何かを変えられるほど
十分なセンスは持っていないかもしれない
僕は道を踏み外した
何処かでずれてしまった
スティル
光の悪戯
それとも、ただ遠近感を見失っただけ
壮大な計画の中の欠陥
それとも、ただそれがあるがままの姿
遠くからは良さそうに見える
でも、近づいて行くにつれて
次第に威圧的になっていく
でも、この瞬間も過ぎていくのだろう
それでも
丘を登る途上で
指から血を流すかもしれない
でも、僕はそこに行きつかなければ
じっとして
丘の上に立っていると
僕の心は解き放たれる
でも、僕はそこに行きつかなければ
それでも、なお
抽象的思考の中に迷いこみ
幻惑され、惑乱されて
息もできない、その中でも
僕は疑いの断片に捕らわれている
反響のために気をそがれて
でも、こんな瞬間も過ぎさっていくのだろう
それはただの混乱
たやすく乗り越えられる幻想
決断がやってくる
そして贖罪が
それは幻想じゃない
たやすく乗り越えられる虚構でもない
革新がやってくる
贖罪とともに――
光の悪戯
それとも、ただ視点が多すぎるだけ
遠くからは良さそうに見える
でも近づいて行くにつれて
次第に威圧的なものになっていく
でも、こんな瞬間も過ぎていくのだろう
それでも
丘に登る途上にいて
指から血を流すかもしれない
でも、僕はそこに行きつかなければ
じっとして
丘の上に立っていると
僕の心は解き放たれる
でも、僕はそこに行きつかなければ
それでも、なお
グレイス・トゥ・グレイス
10万年の年月
10万マイルの行程
10万の涙
そのくらい多くの
呼び返すことのできない魂
暗闇が退いた時
永遠が通りすぎていく
今とかの時の狭間に横たわる
断層線の上を
真実が姿を隠した時
永遠が通りすぎていく
今とあの時との間にある
深い亀裂の上を
優雅に、あくまで優雅に
そうあるべきであったはずの
穢れなきまぼろし
顔を見合わせて
そうなったかもしれない
雄弁な物語を(話そう)
10万もの夢
10万もの光の柱
天の神さえ正しく導きえない
それくらい多くの巧妙な計画
暗闇が沈下した時
永遠が通りすぎていく
かの時と今とを隔てる
深い亀裂の上を
真実が姿を隠した時
誠実さはひっそりと落ちていく
あの時と今との間にある
断層線の上に
優雅に、あくまで優雅に
そうあるべきであったはずの
穢れなきまぼろし
場所から場所へと(語られていく)
そうなったかもしれない
優美な物語
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