GL.netに1年ぶりに出たGeddyのメッセージ、全訳版(拙訳・筆者)です。
日本がアウト・オブ・眼中なのは、ご愛嬌?
(で、すませられるのも、ちょっと悲しかったりもしますが)
おーい、もう春じゃないのかい?
わぉ、ここ大いなる白き北の大地は、すさまじい冬に見舞われてるんだ。4月だというのに、
うちの裏庭にはまだ雪袋が積みあがっているし、(訳注:トロントでは、冬場雪かきした雪を袋に詰めて
回収する、と言う話を聞いたことがあります。未確認ですが) 最悪なことに、ブルージェイズの
ゲームがスカイドームでもう5試合も行われたというのに、全然屋根が開く気配もないんだよ。
サイトの更新を、こんなに長いことやっていなくて、ごめん。去年は僕らにとって竜巻のような年で、
終わったら、しばらく家族の中へ消え去ることが、僕にはどうしても必要だったんだ。
14ヶ月かけて「Vapor Trails」を作り上げてからのことを、改めてもう一度補足すると、(知らない人のためにね)
そのあと、僕らは北アメリカツアーを始めることにした。最後のツアーからずいぶんな年月が経っているし、
(ちょうど5年だ)その間に僕らには、本当に多くのことが起こった。思いきり正直に言うと、はたして上手くいくかどうか、
誰も確信は持てなかった。つまり、こんな長いブランクのあと、カムバックできるだろうか、上手く演奏できるだろうか、
ニール、アレックス、それに僕自身も(みんな理由は違うけれど)ロードの苛酷さに耐えていけるだろうか、
そして一番重要なことは、はたしてファンたちが戻ってきてくれて、僕らの提供するものを喜んでくれるだろうか、
と言うことに。
何も保証がないので、僕らはあまり先までプランを立てることを、躊躇していた。まず数週間やってみよう、そう思っていたんだ。
もちろん、そのために僕らのマネージメントはちょっと大変だったし、北アメリカを離れて(のツアー)なんて、
考えもしなかった。
そうして僕らはリハーサルに入り、いくつかの曲の流れを組みたてていったけれど、作業が進んで行くに連れ、
ショウをデザインし、組みたて、セットリストに入れるのに適当な曲を決めることが、どんなに大変なことかを、
改めて気づかされたものだった。
僕らが集まって作業を進めて8週間が過ぎ、コネティカット州ハートフォードで、最初のコンサートが開かれた。
僕は、それがある種感動的な体験だったことを、喜んで認めよう。
ステージに出た時、ファンたちはみな満面の笑みを浮かべて僕らを迎えてくれた。世界中から、僕らが戻ってきたことを
歓迎するために、集まってきてくれたようだった。「トム・ソーヤー」の最初のコードにとりかかる前に、僕らは
お互いをチラッと見、ちょっとためらいがちに笑みを交わした。
そして最初の数分間の間に、時々お互いを見やって、僕らは2つのことを確認した。一つには、僕らはまだ恋しく思われていたこと
(本当にありがたいことだ!)、二つ目は、僕ら自身もこの時を、恋しく思っていたことを。これが、僕らの仕事なのだ!
音楽を演奏し、生き生きと、陶酔しながら、できる限り良いショウをするために、一生懸命にやることが! すべてが
上手く行くような気がした。
僕らにとって、素晴らしい夜だった。そしてその夜の余韻のおかげで、近年稀に見るような、満足のいくツアーにすることができた。
僕らは順調に日程をこなした。観客たちはずっと来つづけてくれ、ずっと笑顔を見せてくれた、それは僕らをも、微笑ませてくれた。
そして僕らは燃え立ち、毎晩プレイをするたびに、より良い演奏ができていく、そして結果的に、ツアー日程を延ばしていくことに
なったんだ。
僕らはちょっと冒険心を出して、今まで行ったことのないところに足を伸ばしてみようとさえ、決心した。
ラテンアメリカや南米に来て演奏してくれないか、と過去何度か要請があったけれど、今までは実現する機会がなかった。
まあいい――全然ないより、遅れる方がまだましだ。
そんなわけで、最初はメキシコシティに行き、次はブラジルへ、そこで僕らは膨大な数のファンたちから歓迎を受けた。
彼らは、僕らが彼らのお気に入りの曲を演奏するのを見る機会を25年間も待っていてくれていた。
なんという歓迎だっただろう! あの地の観客たちは驚異的で、僕らはすっかり驚いてしまった。英語は話さなくとも、
一言一語にいたるまで一緒に歌ってくれるし、微笑を浮かべ、歓声を上げて、来てくれて嬉しいと言ってくれる。なぜ僕らは
かの地を訪れるのに、こんなに時間がかかってしまったのだろう。わからない・・いろんな理由があったと思う・・その時には、
それが適当だと思えた・・だけど今思うと・・ちょっとばかり、馬鹿げていたような気がする。
幸運なことに、僕らは、あそこでのショウの一つをフィルム撮りしようと言うセンス(と、本当に運もあるだろう)があった。
ブラジル、リオ・デジャネイロでの最後のショウだ。そこでも観客たちは信じられないほど素晴らしくて、
僕らもなんとかかなり良い出来のパフォーマンスをすることが出来た。この時の映像の編集を仕上げて、何ヶ月か先にDVDとして
リリースしようと思う。いくつか、面白い付加映像をつけて。たとえば、自宅でパジャマ姿のビッグ・アルとか、ブラジルツアーの
ドキュメントとか、ほかにも、そう・・ちょっと変わった物を、何処かに隠しておくよ。
去年、唯一心残りだったことは、ヨーロッパに行って、長いこと待たせてしまったファンたちの前で演奏する機会を
失ってしまったことだった。このことは、本当に申し訳なく思っている。そこでどのくらい上手くやれるか
わからなかったし、新しい場所へ行きたいという僕らの要望の狭間で、僕らは時間配分の計算違いをして、そこへ行きつくまでに、
精魂尽き果ててしまったのだと思う。
もう一度ツアーをすることがあったら、その時には、ヨーロッパに行くことを優先させると、約束するよ。
未来には、何が起こるだろう。僕らには、何が待っていると思う? さあ、今はともかく、オフを楽しんでいるよ。個人的には、
本当に必要としていたものだったからね。「My Favourate Headache」を制作して、すぐに「Vapor Trails」の制作に入って、
それからすぐにVapor Trails Tourだったから、ほとんど4年連続でかかりっきりになったおかげで、妻や子供たちが、
僕のことを忘れてしまっているんだよ!
そんなわけで、適当な時間のオフが終わったら、きっと僕らはスタジオにふらふらと舞い戻って、またわかりにくくて、
しょうこりもなく大げさなロックの小唄コレクションを、もう一つ作ろうとするだろうと思う。それとも、まあ、どっちにしても、
それに類した効果を及ぼすようなものをね。それが終わったら、(もちろん、上手くいったらと仮定してだけれど)
たぶん僕らはまたロードに戻ってきて、僕たちと君たちとで、お互い十分受ける価値のある悪癖を、やり取りすることに
なるのだろうね。
ともかく、来てくれてありがとう、そして僕らがいない間も支持してくれて、ありがとう。おかげで、
時が来てもう一度やってみようとした時、ずっと楽に出来たよ。
君たちみなの幸せと平和を祈って
原文は、こちら