☆Far Cry Word For Word

オリジナル分析は、The Rush Chroniclesという北米ファンサイトの、StrangerTidesさん(以下STさんと省略)という投稿者の方です。Thanks!

Pariah dogs and wandering madmen
Barking at strangers and speaking in tongues

pariah dogというのは野良犬ですが、パーリア(インドのカースト制最下層民)という語から、はぐれ者達という含みを持ちます。STさんは社会的な放浪者や狂人が、理由もなしに人にちょっかいを出したり暴言を吐いたりという、今の非常に不安定な世の中を指しているのではないかと、書いていました。
最近のニュースを見るにつけ、当たっているなぁ〜と思わずにはいられません。しかも脅したりわめいたりするだけでなく、実際に危害を加えたりもするのだから。

The ebb and flow of tidal fortune
Electrical changes are charging up the young

運は潮の満ち干のように波がある。では、次の行の意味は?
若者達を取り巻くモダンテクノロジーを意味するのでは、とSTさんは仰っていますが、同意です。今の若い子達にとって、ケータイ、ネットが果たす役割の大きさや、それに伴う社会現象を考える時、飛び交う電波に彼らのエネルギーを乗せ、充電する――というのは、非常に的を射た表現かも、と思えました。

It’s a far cry from the world we thought we'd inherit
It’s a far cry from the way we thought we'd share it

子供の頃に教えられてきた世界と、実際大人になってみて認識する世界の姿は違う。そのギャップに戸惑うのだ、いうことですが、同時に何でこうなっちゃったのかなぁ、という嘆きのようなものも個人的には感じます。

You can almost feel the current flowing
You can almost see the circuits blowing

このイメージは緊張下にある世界なのだろうということです。世界情勢だけでなく、社会情勢も。いつか過負荷になって、爆発しまうのだろうな、と。。

One day I feel I'm on top of the world
And the next it's falling in on me
I can get back on
I can get back on
One day I feel I’m ahead of the wheel,
And the next it's rolling over me
I can get back on
I can get back on

こんな社会、世界情勢だから、何事も安定しない。さらに気まぐれな運にも弄ばれて、頂上を極めたと思ったら、あっという間に転落、ということも珍しくない。でも、立ち上がれる、やり直せるチャンスもあるだろう。そんな感じですね。

Whirlwind life of faith and betrayal
Rise in anger, fall back, and repeat

この信頼と裏切りの繰り返しは、必ずしも信仰だけの問題ではないと思うのですが、小さな爆発を繰り返しながら、沈静化すると忘れられて、教訓は学ばれず、ずっと続いていくのです。

Slow degrees on the dark horizon
Full moon rising lays silver at your feet

2行目のイメージは、アメリカ人であるSTさんも「はっきりとはわからない」と書いていました。layは他動詞なので、”Full moon rising(上っていく満月)”という無生物を主語にするのには不自然だから、と。うーん、それにrisingがfull moonのあとにくると言うことは、moonよりrisingの方が主点なんですよね。で、silverは何か? 実際に月が投げると言えば光なのだろうと、銀の光と訳したけれど、原文はただの銀です。銀と言えば「銀のスプーン」が財産を表します。北米の方々の連想ではこの銀が象徴するものは「希望かな、幸運かな?」というものが多いようでした。
 ただ、この2行から想起するイメージはかなりはっきりしています。暗い地平線の近くから、ゆっくり上っていく満月、その光が足下に届く――かすかな希望はある、でも世界はまだ夜の中、いや、これからまだ夜は深まるのだろう――そんなイメージを感じます。

You can almost see the circle growing
You can almost feel the planets glowing

「成長していく輪」とは何なのか、「熱くなっていく惑星達」は何を意味するのか、RushChroniclesではこの2行の明確な説明は結論がまだでていないようです。(いくつか興味深い意見は出ていますが) 何かの比喩だと思うんですが、私も本当に漠然としたイメージしかありません。planets glowingは地球温暖化かな、ともちらっと思ったのですが、フォーラムでも指摘されていましたが、planets、複数なんですよね〜
Blogの方にplanetsの解釈に対する、ARIGAさんのコメントがありました。ARIGAさんのご解釈は、私にとってまさに「目から鱗」状態でしたので、転載します。

"planets"という言葉を今回のツアーでも取り上げているENTRE NOUSの歌詞の中で個人、あるいは人格を示す比喩として用いているのと同じ意味あいではないか?と考えると筋が通りそうだと考えています。
ネット社会になって個人が全世界に向けてメッセージを発信できるようになり、それまでの情報が一方通行だったマスメディア主導の社会から大きく転換しましたが、同時に個々の人間の思想やエゴなどが顕在化して、世界は混沌とした様相を呈している、と。その有様がplanets glowingという表現になったのではないでしょうか。また、この解釈だと歌詞の冒頭部分とも自然に繋がるように思います。
また、そういう意味ではかつてのVIRTULITYの10年後の世界でもあり、同時に今回の主要なテーマである宗教的な対立も絡めて表現しているのでは?と解釈しています(特に circle growing の部分)。

★ARIGAさん、とても貴重なご意見、ありがとうございました。(2007年11月14日追記)

One day I fly through a crack in the sky
And the next it's falling in on me

これも運命の浮き沈みなのですが、空の裂け目、という比喩は、限界を超えられる、というポジティヴな含みと同時に、空が落ちてくる、というカタストロフも示唆しているのだという方もいました。確かに2行目で空落ちてますしね。(^^;

 英語ネイティヴの方々には、Far Cryはかなりネガティヴな内容に映るようです。実際、”I can get back on"――このフレーズだけが唯一、この敵意に満ちた、混沌とした状態を生き抜けるのだという希望を感じさせてくれる、と。