S/Nと描写力(星雲バージョン)


先に、恒星をイメージした画像を使ってRGBのS/Nを求める検討をしましたので、次は輝線で光っていて色の偏りが大きい星雲をイメージした画像を使って必要なS/Nを探ることにします。
シミュレーションで使う画像は、星雲に見たてた赤と青の領域と、また惑星状星雲などは緑も強く発しているのでそれを見たてた緑の領域、それらを微妙に重ね合わせ、そして星雲のそばにはたいてい散開星団があるので恒星をいくつか加えた画像を使うことにします。ノイズは以前と同様乱数を使って背景に強度を加えます。

まずはじめに、RGBに同じだけのS/Nをもった画像を見ることにしましょう。

左からS/N=2,4,8,16のノイズががRGBに同じだけ乗っているイメージ

RGBにそれぞれS/Nが16以上あれば満足するイメージが得られることがわかります。
それでは次に、RGB毎にノイズを乗せて、どの色が最もノイズに敏感かを見てみます。

左から、S/N=2,4,8,16のノイズをR画像のみに乗せたイメージ

左から、S/N=2,4,8,16のノイズをG画像のみに乗せたイメージ

左から、S/N=2,4,8,16のノイズをB画像のみに乗せたイメージ

RのS/Nは恒星だけのときよりも1段高いS/Nが必要であることを示してます。Gはやはり最も敏感で、S/Nが悪いと画像全体の画質を落とすだけでなく、星雲に相当する部分も画質感を落とす傾向が見えます。また、Bが最も鈍感であることは以前の検討と同様です。。ご覧になっているモニタの調整によって許容されるS/Nが変わってきますが、わたしのモニタを標準とした場合、許容される色毎のS/Nは次のようになります。

Red S/N = 8 or 16

Green S/N = 16

Blue S/N = 4 or 8

 
左からRGBに、S/N=16,8,16、S/N=8,16,4、S/N=16,16,4、S/N=16,16,8、S/N=16,16,16のイメージ

左から順にわたしの独断で画質の悪い順番に並べてます。やはりGのS/Nを削ることはできないようで、一番の左の画像を見てわかるように、RとBのS/Nが16あってもGのS/Nが8しかないとノイズの目立つ画像になってしまいます。GのS/Nは16以下を譲ることができないようなので、16を持たせたまま、RとBのS/Nを変えたのを見てみると、判断が難しいところですが、許容S/NはS/N=16,16,8、またはBを削って、S/N=16,16,4といったところです。ここはひとつ下限をとって、S/N=16,16,4とします。

改めて許容S/Nを書くと次のようになります。

Red S/N = 16

Green S/N = 16

Blue S/N = 4



恒星の時の場合にくらべ、赤のS/Nが1段高く要求されることがわかりました。

赤や青しかない星雲でもGのS/Nの影響を受けることがわかりましたので、GのS/Nは高いものが要求されるようです。せっかく高画質で撮ったR画像もG画像でノイズが悪いと目立ってしまうというふうに解釈できます。

この値は下限値であるので、画質の高いものがほしいときはこれらのS/Nの比(RGBごとのS・N比の比)で露出時間を延ばすのが効率的であると思われます。赤だけや青だけを伸ばしても当然S/Nは向上しますが、GのS/Nもあげるといっそう画質が向上すると思われます。

一般に星雲は暗黒体やBokGlobulesなどをもっていて、見かけ上エッジをもった画像になります。シミュレーションではそこまで対応していませんが、エッジがあるということはなおさら解像力を問われます。つまりS/Nが良くないと解像力の高い画像は得られないと思います。ですから、ここで得た結果は十分そのまま実際の星雲にも当てはまると思います。

それでは、これをもとに露出時間を決定し、実写で検証してみましょう。



1999,5,25

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