解像力の違いによる映像
地上望遠鏡は大気の揺らぎを受けるために、口径の能力を生かすことが非常に難しいことは良く知られています。パロマ山の5mで撮影した木星像より、ピックドゥ・ミディの1mクラスの望遠鏡で撮影された惑星像の方がはるかにシャープにみえます。更に言うなら、HSTで撮影された画像ほど解像力の高い映像は今まで見たことがありません。
では、自分の望遠鏡を宇宙にもっていったらどのくらいの解像力で惑星が見えるのでしょうか?
HSTで撮影した画像を元に、5,10,20,40cmで見たことを想定してどのように木星像がみえるかを計算しました。
左:HSTで撮影された画像の縮小画像 右:HSTで撮影された木星像
計算データ:
HST画像をコンボリューションする
木星の視直径は40秒相当
PSFはSINC^2関数とする
CPU=Celeron450MHz 計算時間約1分
左から、5cm、10cm、20cm、40cm、の望遠鏡で宇宙空間で見たと想定した木星像
計算結果と自分の経験などを比べると、はるかに計算結果のほうが良く写っています。5cm計算画像は20cmの望遠鏡でシーイングのいい場所で撮影したほどの画像です。
以前知人から、「自分の望遠鏡を宇宙にもっていくと5倍の性能が発揮できる」ということを聞きいたことがあります。まんざらそれもうそではないようです。
40cm計算画像とHSTの元画像がそれほど違わないように見えますが、HPの都合上、画像を縮小しているので、その差が見えないだけです。
人間の目は70Hzくらいから点滅がわからなくなるといいます。逆にいうと、それ以下の周波数くらいで物体を認識しているということです。数値で言うと、肉眼は1/30〜1/50sec.程度の時間分解能のもっていますので、大気の揺らぎの影響は軽減されます。一方、カメラは数秒〜数十秒で露出時間で撮影しますから、肉眼で見たときより、画質が劣化しやすくなります。
望遠鏡の種類によっては、コントラストが悪くなります。それを考慮した画像を計算したいなと思ってます。
シーイングの影響をみえるために、木星像を使った解像力チャートを作りました。
1999,7,24
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