画像の周波数特性の見方
ここでは画像の周波数特性の見方を紹介します。
画像をFFTにかけるとその画像のもつ情報を成分ごとに調べることができます。 これはちょうど光をプリズムに通して波長ごと(周波数ごと)に強度知る分光と同じです。 難しい理論は省いて実際に映像とその周波数特性を見ながら、その見方を学びましょう。
いきなりですが、解像度の違う3つの木星を用意してそれぞれの周波数特性をみると、解像度の高い木星像のグラフ曲線が一番盛り上がっていて、解像度の低い木星像の曲線は落ち込んでいることがわかります。
解像度の異なる3つの木星像
木星像3つの周波数特性
つまり、横軸周波数、縦軸コントラストのグラフが示すこの意味は、高解像の画像ほど高周波の(右へいく)コントラストが高いということです。 したがって画像特性を調べれば、大量撮影した惑星像の中から良像をピックアップすることが可能になります。
せっかくなので、もう少し踏み込んでグラフを見てみることにします。
画像には天体像のほかにダークノイズやバイアス、そしてフォトンノイズなどが含まれていますので、比較的シャッター速度の速い惑星像で見られるバイアス像(背景部分)の特性を見ると、直線的に右上がりになっていることがわかります。 一般にランダムに一様に分布するノイズはこのような特性を描きます。
バイアス画像とその特性
次に、シングルショットの木星像を見ると、木星像の成分とバイアスまたはノイズ成分がわかるだけでなく、その映像の最高解像度も見つけることができます。
ワンショット撮影の木星とその特性
大量コンポジットしていくと、このノイズ成分はゼロに近づいて最初にみた3つの木星像の特性曲線のようになっていきますので、最高解像度付近のコントラストを強制的に持ち上げれば画像復元されます。 画像復元とはその名の通り見えない模様を復元することで、つまり見えないほど淡かったコントラストを強調する処理のことです。 ですから、コントラストゼロの部分をいくら強調してもゼロなので、画像復元にも限界があります。 ただ、S/Nが無限大でほんのわずかでもコントラストが残っていれば完全に復元可能となるため、大量コンポ
ジットでS/Nを上げる努力は怠ってはいけません。
2003, June 4th
Astronomy
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