モノクロカメラを使ってカラー画像を作るには赤・緑・青のフィルタを通して撮影した 画像をRGB合成するだけである。 言葉では1行で済むことが実際にやってみると意外に面倒であるが、 一度覚えてしまえば後は簡単である。 CCDの分光感度はフラットではなくどこかにピークを持った山型をしており、白い物体を赤・緑・青の 3色で撮影すると分光感度の違いからこのまま合成しても白色には表現できない。 あるCCDセンサの分光感度を見てみよう。 500nm付近に感度ピークがあることがわかる。 このCCDセンサを使って白い星を撮影してみると緑または青にピークを持ち、街明かりの影響で 緑色のバックグランドが多くのるためデータ上では次のようなプロファイルを描く。 データをそのままこの状態でRGB合成してみるとかなり見苦しい映像になる。 緑色の背景に加え、星雲の色もバランスが悪くなっている。 そこで、まずホワイトバランスを取ることにする。 ホワイトバランスとは白いものが白く写るようRGBの係数を揃えることで、ビデオカメラやデジタルカメラでは その機能が備わっており、場所に応じて自動的にホワイトバランスを取ってくれる。 しかし天体撮影では 自分で処理しなければならない。 太陽系に住んでいることから太陽を基準にホワイトバランスを決定する。 望遠鏡を太陽に直接撮影するのは 難しいので、月面を利用する。 地上で見る月はやや黄色っぽい色をしているが、月面着陸した宇宙飛行士や 標高の高い山で見る月は灰色である。 つまり、地球の周りに反射率の低いホワイトボードが漂っていると 考えてよく、月面をRGB撮影すれば自分のカメラシステムのホワイトバランスを求めることができる。 月面を撮影したらRGB画像の明るさを比べる。 画像を開いて月面の同じ箇所で強度を比べてみて、 強度の違いが感度の違いと考えてよい。 RGB合成するときにこの逆数をかけてやれば月面は白く表現される。 CCDセンサの種類やフィルタのブランドによってこの強度比は変わってくるので、このオリジナルの強度比は大事に保存しておく。 これを元に白い星を撮影すると次のようなプロファイルが描かれるであろう。 山の高さは同じであるがバックグラウンドが違うことがわかる。 都会の近くで撮影すると水銀灯の影響を受けて 緑色のバックグラウンドがどうしても上がってしまう。 オーストラリアなどの空の暗いところで撮影した画像で あればそのまま合成しても問題ないが、日本国内では背景が緑色をした不自然な写真となってしまう。 星雲の色はそれらしくなってきたが、これではまだ不自然である。 そこで最後に、背景を揃えて合成すればナチュラルな写真のできあがりである。 MaxImDLを使ってRGB合成する場合は、Bgd Auto Equalizeに チェックを入れておくだけで自動的に背景を揃えてくれる。 またホワイトバランスの係数は中央下のマトリクスに 入力すればよい。 CCDサイトに戻る TOP |