Flat Frame with Dark Optics



 太陽望遠鏡などのように非常に暗い光学系では太陽並に強力な光源が必要だが、フラットかつ強力な光源を作るのは非常に難しい。 そこで太陽を使ってフラット画像を得る。

 フラット画像とはフラットな面光源を撮影したときに得られる画像のことである。 従って、パターンのある太陽像でも縦横細かく移動させて撮影すれば太陽像は平均化され、光源は完全にフラットになりフラット画像が得られる。 

 
左:太陽像 、右:太陽像を左右に移動させた像

 しかし実際には太陽を縦横無限に細かく移動するのは不可能である。 たとえ画面上1ピクセルに相当する分だけ移動させたとしても、1000x1000のCCDでは1000x1000の升目移動が必要となる。
 そこで移動量のステップを荒くし作業の簡素化を図るのだが、どこまで許容できるかを計算で求めることにする。 太陽は東西方向へ移動しているので、赤道義のモータドライブを止めることにより太陽をCCD上に横断させる。 もしくはモータドライブを速めて太陽像を動かしてもよい。 これで横方向への移動は完全に平均化できる。 これだけでは横方向にムラがなくても縦方向にムラが残るので、次にこの作業を南北方向へ少しずつ移動させて撮像し、最後にこれらの画像をコンポジットする。(下図)

太陽を何本かに分けCCD上を縦断させる(四角がCCD)


 縦方向へ1ピクセルごとに太陽を移動させて撮像するのが理想であるが、実際の作業でほとんど不可能なので8,16,32,64,128ピクセルごとに移動させてどの程度均質なフラット画像が得られるかを計算で求める。 太陽像には白色像とHα画像の2種類を用いる。CCDサイズは1024x1024。太陽直径は約900ピクセル。

 
計算に使った太陽画像(オリジナルは1024x1024ピクセル)

白色像
8ピクセルステップ フラット強度平均110.9 分散 0.015
16ピクセルステップ フラット強度平均110.9 分散 0.042
32ピクセルステップ フラット強度平均110.9 分散 0.144
64ピクセルステップ フラット強度平均110.9 分散 0.44
128ピクセルステップ フラット強度平均110.9 分散 1.424

H-α像
8ピクセルステップ フラット強度平均80.3 分散 0.05
16ピクセルステップ フラット強度平均80.3 分散 0.04
32ピクセルステップ フラット強度平均80.3 分散 0.11
64ピクセルステップ フラット強度平均80.3 分散 0.33
128ピクセルステップ フラット強度平均80.0 分散 1.17

以上の結果から、分割数を10程度(64-128ピクセルステップ)にすると約1%程度のばらつきでフラット画像が得られることがわかった。 太陽像のパターンが少ないほどばらつきは小さいので、Hα像では狭帯域フィルタの中心波長をHαからずらしてパターンの発生を抑えると良いであろう。

2000,9,29

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