FFTSelector(FFTセレクタ)


 FFTSelectorとは連続撮影された天体画像などの中から高解像だけを選択するソフトウェアです。 処理方法はその名の通り、画像をFFTにかけ周波数特性を調べ高周波高コントラストの条件に当てはまる画像を高解像と定義し、解像度の高い映像だけをピックアップします。
 画像にFFTをかけるとその画像の持つ周波数特性がわかります。 次の画面は実験版FFTSelectorの操作パネルで、左のリストに列挙された画像の周波数特性が中央のグラフに描かれます。 横軸が周波数で縦軸がコントラストとなり、右へ行くほど高周波、上にいくほどコントラストが高くなります。 一般に画像は高周波になるほどコントラストが低下し、ある周波数でコントラストがなくなります。 そこが解像度限界で分解能と解釈できます。
 FFTSelectorでは多数の画像の周波数特性をグラフ表示し、ベストの特性カーブを赤、平均カーブを緑、ワーストカーブを青で示してくれます。 そして2本の黒い線で囲まれた周波数帯においてコントラストの高い画像を抽出してくれる便利なソフトウェアです。

実験版FFTSelectorのパネル画面


 このパネルは下の3つの解像度の異なる画像を処理したときの結果で、最も解像度の高い j0.fit ファイルを選択しています。

解像度の異なる木星像

 惑星撮影では画像復元処理が欠かせないため高S/N画像を用意する必要があります。 いくら冷却CCDカメラの性能がよくても、16ビット画像(カメラゲイン2.0のとき)ではS/N=358が理論上限界で、CCDカメラのダイナミックレンジを考えるとワンショットで得られるS/Nは180程度が限界です。 分解能ぎりぎりの解像度を復元するためにはこれ以上のS/Nが求められるので、大量コンポジットによる超高S/Nを作るためにFFTSelectorによる大量処理が欠かせません。

 15年に一度の火星大接近にめがけてベーシック版を無償配布する予定です。 


2003, June 1st

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