デジタルカメラのトーンカーブ


  デジタルカメラは冷却CCDカメラと異なり出力される画像にはトーンカーブが施されているのでその癖を知っておくと良いのは当たり前で、実はこのことが撮影時に非常に重要なキーになっているので実写を元に話をしていこう。 デジタル天体撮影で主流の冷却CCDカメラはトーンカーブが直線なので後処理で自由自在に変更でき、撮影時の露出時間やカメラのゲイン特性を知らなくても処理段階でいくらでも補正できるが、デジタルカメラの場合には入力値に対する出力値の特性が固有であるため露出時間とISO感度設定によって画像が大き く異なってくる。
  一般的なデジタルカメラのトーンカーブは、低照度部分で直線的、高照度部分で滑らかなカーブを描きデータが飽和しにくいような特性と持っている。 

デジタルカメラのトーンカーブ(点線:実測)

  ということは露出アンダーで撮影すると画像は被写体全体の輝度分布が直線的に記録されるが、適正露出で撮影すると被写体の明るい部分は滑らかなトーンで記録され、暗い部分が直線的に記録される。 実際に適正露出で撮影した画像と-2EVアンダーで撮影した画像に4倍係数をかけた画像を比較してみる。

左:適正露出画像、右:-2EVアンダーに4倍係数処理した画像(左下画像は元画像)

低照度部分である人形の土台はどちらも直線的に記録されているのでどちらも同じように写っているが、人形や背景のように明るい部分は記録されているデータが異なるため4倍係数をかけても同じ映像にはならない。

  それならば、露出アンダーの画像は直線的に輝度データが記録されているので、デジカメの特性に近いトーンカーブを施し係数倍をかけてやると、適正露出で撮影された画像に良く似てくるであろうことが容易に予想される。 実際にそのように処理してみると、かなり似たような画像に変身する。

-2EVの露出アンダー画像にトーンカーブを施し係数倍した画像


  天体撮影の場合ではデジカメの露出時間制限などから必ずしもフルレンジで天体を映像に収めることができないこともあるので、ISO設定を上手に使う工夫が必要になるであろう。 このあたりの撮影センスは銀塩時代のころの感覚とよく似ているかもしれない。

2002,11,20

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