ダーク処理


 画像処理の中でやや軽視されやすいダーク処理について正しい処理方法を紹介します。 
まずダーク処理とは何か? 長時間露光で発生するダーク信号(この場合シグナルであってノイズではない)を天体画像から差し引くことです。 しかしダーク信号にはばらつきが生じます。 このダーク信号のばらつきをダークノイズと言っていいでしょう。 このばらつきを抑えるにはダークフレームの枚数をこなすしかありません。 一般に天体撮影の合計露出時間と同じ、またはそれ以上の時間をかけてダークフレームを作ります。 そうすることでダークノイズを小さくすることができます。 
では実際にダークフレームの違いによる写りの違いを見てみましょう。 下の画像はダークフレーム1枚と7枚の違いがあります。 このカラー画像がR:G:B=3:6:3枚となっているので、最低6枚必要なケースです。 一見してダークフレーム枚数が多いほうがSNRが高いことがわかります。

 
左:ダークフレーム1枚、右:ダークフレーム7枚

 この彗星画像は彗星が移動しているため画面に対しコンポジット位置が移動しています。 そのためダーク信号が大きいピクセルでの凹凸が目立って全体的に筋が現れます。 これを読み出しノイズと捕らえることが多いようですが、実際にはダーク処理の不完全さからくるものです。 ぜひみなさんダークフレームはたくさん取りましょう。 またCCD温度も可能な限り低くしてダーク信号自体を小さくし、そのばらつきをも小さくしましょう。

撮影データ
光学系:ベーカーシュミットカメラ 口径20cm F2.3
露出: R:60秒x3枚 、G:60秒x6枚 、B:60秒x3枚
カメラ:Apogee AP2Ep
CCD温度:-20℃


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