Polarization of Crub nebular


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ここでは、かに星雲(M1)の偏光観測を紹介します。

光の面白い性質の中に偏光というものがあります。光は電磁波であり、電場と磁場を変化させながら飛んで行きます。電場に注目しましょう。電場にはX成分とY成分があり、この相互がある偏りをもって光が進んでいるときに「偏光している」といいます。といっても初めての人はわからないと思いますので、少し例を挙げてみましょう。

ウィンドショッピングなどという言葉があるようですが、ショーケースに入った商品を見ることのようですね。このとき、ガラスの反射があるために見にくい経験をしたことがあると思います。 特に斜め57度くらいからガラスを覗いたとき、自分にやってくる光のほぼ100%が偏光しています。 これを偏光フィルタを通すとガラスで反射した光を完全にカットすることができます。 偏光フィルタとはある向きをもった光だけを通すフィルタです。
下の2つの画像を見てみましょう。窓ガラスに写った電灯は偏光しているので、フィルタを通すと(右)これをカットできます。

 
左:偏光フィルタなし 、 右:偏光フィルタあり


天体にも偏光をもったものがあります。有名なのがかに星雲です。ガラスに写った電灯のように偏光フィルタをつけて撮影してみましょう。フィルタを45度づつ回転させて撮影した画像を動画にしてみました。周辺の恒星の明るさは変わらずに、星雲の強度分布が変わっているのが一目でわかると思います。

かに星雲の偏光動画(0,45,90,135度ずつに回転)


少し深く話しをしてみましょう。
ストークスのパラメータというのがあります。これを次のように設定します。

I0 :フィルタを0度に回転して撮影した画像
I45 :フィルタを45度に回転して撮影した画像
I90 :フィルタを90度に回転して撮影した画像
I135 :フィルタを135度に回転して撮影した画像

とし、

I = ( I0 + I45 + I90 + I135 )/2.0
Q = I0 - I90
U = I45 - I135

ととります。I はフィルタなしで撮影した画像と同じ画像が得られます。これらの画像を見ることにしましょう。

  
左:I 画像 、 中: Q画像 、 右:U画像



さらに、角度の違う画像ごとに、色をつけてカラー表示で見てみましょう。

かに星雲の偏光擬似カラー
R:0度 、 G:45度 、 B:90度



天体撮影データ
光学系 : 475mm Fno=3.8 ライトシュミット
フィルタ : カメラ用偏光フィルタ+IRカットフィルタ
カメラ : Meade Pictor416XTE
露出時間 : 各画像 1分


おまけ

オリオン大星雲のU画像とQ画像です。
 
左 : U 画像 、 右 : Q 画像

March 3rd 2000

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