カメラレンズ分光器



カメラレンズを使った分光器の作り方を紹介します。
天体の分光観測を行うには望遠鏡を使うと思われがちですが、天体の大きさによって望遠鏡を使うかもっと短い焦点距離のレンズを使うかかわってきます。 彗星や大きな散光星雲のスペクトルをCCDで撮影するには望遠レンズ程度の焦点距離が適しています。

では早速光路図を見てみましょう。

光路図

L1で集光した天体像はF1に決像します。 これをL2を用いてコリメートし、回折格子G1を通してからL2で再決像させスペクトル像をF2に結びます。

実際の装置ではF1にシグマ製300mmF4.0APO、L2にはタムロン製90mmF2.8、L3にペンタックス製85mmF1.4を使用しました。 G1の回折格子は透過型でRainbowOptics社製です。
広がりのある天体にはF1の位置にスリットを配置します。

実際の観測装置

ここで分光器のF値は最初のL1のF値で決まってしまいますので、後ろの2つのレンズは開放にしておいて構いません。 どこでけられるかわからないので開放のままが良いです。
できればF1とF2を同じレンズにすると対象性が生まれるのでディストーションがなくなり、スリットがないときは映像に歪が発生しません。。 ただ100mm前後のカメラレンズはどれを使っても優秀なので異なる2つのレンズを使ってもあまり差し支えないでしょう。 またスリットを使うときには再決像レンズL3のディストーションと回折格子の分散特性で線形性が決まります。
G1の回折格子では光を曲げられるので、L3をその分散角に合わせて数度傾ける必要があります。 そうでないと0次光のスリット像がCCDの真中に写ってきます。 傾ける角度の目安はスリット像がCCDの端に写るようにします。 こうすることによりスリット像が波長0nmになって解析時のキャリブレーションとして使うことができます。

カメラレンズの接続

レンズ同士の接続はどうすればよいでしょう?
ケンコーからカメラレンズをCマウントに変換するアダプタ販売されています。 このCマウント部分はネジが切ってあるので、そのネジ同士を向かい合わせてつなげます。 メスねじは別途用意する必要があり、わたしはCマウント->42mmTスレッドを使ってます。(入手先不明)
これを利用すると焦点位置を合わせやすくなります。
L3は独立して可動できるようにしておくので接続の必要はなし。

観測例
彗星スペクトル
散光星雲スペクトル

2002,July 30th

kztanaka@kjd.biglobe.ne.jp
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