能動光学



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ここでは、能動光学による大気の揺らぎの補正をシミューレートし、どのくらいの効果があるのかを紹介するページです。
まず、シーイングによる星像の乱れを計算して、これを動画にして見てみましょう。
  
シミュレーション画像
左:真空中 、中:地上動画 、 右:地上積分画像

口径20cm F10 波長:500nm
画面1辺50ミクロン ( 約5秒角 )

参考 : 実際のシーイング状態

左が真空中で見たとの星像の計算画像です。地上で見たときを模した動画(中画像)を見るとゆらゆらと動き回っている様子がわかると思います。動画を積分して撮影したときと同じ状況を作ると(右画像)ボケがさらに大きく見えてきます。これは平行に入ってくるべきはずの光線が大気によって乱されて、このような結果を招いているのです。ですから、この大気の揺らぎをキャンセルできれば、きれいな星像が現れることは容易に考えられます。

能動光学は大きく分けて2つの部分から構成されます。
波面検出部分
望遠鏡を動かす部分
このページでは天体望遠鏡で広く使われていて、かつ、理解しやすいHartmann Shack Sensorを使った波面検出部分を説明し、乱れた星像を補正するシミュレーションをします。実際に望遠鏡の鏡の各部分を動かすことになるにはかなりの時間と費用がかかるので、アマチュアがそこまでいくのは不可能に近いです。

ここで1つ用語を覚えてもらいましょう。「波面」という言葉をよく使います。これは光線に垂直な面のことを言います。厳密に言うと、1波長おきに波面を描いていくのですが、それではちょっと不都合なので、図では大きい間隔で描いています。能動光学では光線で考えるより、波面で考えたほうがわかりやすいことが多いです。

まず、光線と波面の両方を使って、星像がどのように動いていくかを説明します。図を見ましょう。

光線の向きと星像の配置の関係


図を見るとすぐにわかるように、レンズにまっすぐ入ってきた光線は、光軸上に星像が現れます。右から入ってきた光線は左に像を作ります。このように、入射してくる光線の向きと星像の位置に比例関係があることがわかります。赤い線は光線に垂直な面で、波面を表しています。

次にレンズを5つに増やして、乱れた波面が入ってきた様子を見てみましょう。

乱れた波面がレンズアレイに入ってきた様子

大きくみると、波面は乱れているのですが、レンズ1つ1つからすると、おおよそ、斜めの平行光線が入射してきたように捕らえることができます。CCDに写った星像の位置を求めることで、各部分での波面の傾きを測定することができます。
これを利用して、望遠鏡に入ってきた乱れた波面を分割し、1つ1つのレンズで波面の乱れがどのくらいかを知り、望遠鏡の開口の波面の乱れを測定します。

では実際にどのような配置になるのか、望遠鏡の焦点位置を含めて光路図を見てみましょう。

望遠鏡の焦点位置からの光路図

F1は望遠鏡の焦点位置、CL1はこれを平行光に換えるコリメートレンズ、L1は小さなレンズ群(レンズアレイ)です。実際にはハーフミラーなどを使って、観測用と波面検出用に光路を分割します。

高校の時に学んだ微積分を思い出しましょう。ある関数の一部分の傾きというのが微分です。これを積分すると、関数全体が求まります。したがって、レンズアレイを通ってきた光線の傾きを積分することで、波面全体の様子を捕らえることができます。


続く
近いうちに、シミュレーション結果がでると思います。


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