情報コラム 2010年4月2日 明るさファクタ


  以前ピクセル当たりの明るさF/p(F:F値、p:ピクセルサイズ)というファクタの 便利性を説明したが、今回はこれを拡張して画面当たりの明るさF/L(L:画面の1辺の長さ)の 説明をしたいと思う。

  まずは簡単な事例から考えてみる。 たとえば同じ口径の望遠鏡があって これに直焦点で35mmフルサイズCCDカメラで撮影したのと、0.5倍レデューサを 取り付けてフォーサーズCCDカメラで撮影したのとではフィールドは同じになり画面当たりの 明るさも同じになる。 縦横比が合っていないので比較しづらいというのであれば、正方形CCDの KAF-4320(24ミクロン2048x2048ピクセル)とKAF-1001E(24ミクロン1024x1024ピクセル)に 置き換えて考えると良い。

  同じ画素サイズ・縦横比のセンサはあまりないため収差やピクセル当たりの解像度は若干違ってくるが、 普通は撮影した画面を1つの絵としてモニタやA4プリントにして見る限り、細かい部分よりも全体としての絵が どう表現されているかが重要になってくる。 1ピクセルのみだけを見ている人は居ないであろう。

  物理学的に考えてもF/pが成り立つ以上、同じ長さというディメンジョンを持つLをpに 置き換えてF/Lにしても式は成立する。 これを一般化するのであれば像面上の明るさというのは F/l(小文字のLを採用)で表現することができ、ピクセル単位で考えるならl=p、画面単位で 考えるならl=Lとする。 従来使われてきたF値というのは単位面積あたりの明るさを意味しており、 l=1とすればF/1=Fとなる。

  ではこれを応用してどんなことができるか考えてみる。 世の中にはイメージサークルの広い望遠鏡があるが カメラが高価なためそれをフルに活かした使い方をしている例は余り無い。 そうしているうちに、 イメージャーを基準にして望遠鏡の組み合わせを考えがちになり、明るい光学系やレデューサばかりに 目が行ってしまう。 しかし上の式からわかるように明るさを上げたいのであれば、Fを小さくする代わりに Lを大きくすることで全体の明るさを上げることが出来る。(全体の明るさ=F/Lを小さくすることが出来る)

   早い話がイメージャーを大きくすれば良いのである。  Fが暗くてもイメージャーさえ大きければトータル受光できるフォトンの数が増えるので結果的には 明るくなったことに相当する。 ただイメージャーが大きくなると高価になるし画角も変わるのでそう簡単には 物事は運ばないかもしれないが、このような観点で考えることは重要である。 またイメージャーが大きくなり その分収差が相対的に小さくなるため細かいところが気になってこないというサイドエフェクトがある。

  
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