情報コラム 2009年10月11日 天文誌の写真コンテスト


  どうも天体誌の写真コンテストには大きな疑問がある。 そもそも賞をつけるなどの ランキングがなぜあるのか? 天体写真に優劣はなく、普段見ることのできない天体を より真の姿で見せることが天体写真の意味であろう。

  過度に強調された色彩や解像度は科学的にみても不自然で、そこに価値を置いて競い合うよりは 「こんな天体がありました」というスタンスで掲載するのが理想であろう。 少なくとも 過去数十年の天文誌はそのような姿勢が背景にあったと思う。

  ところがデジタル画像になってから一変してしまった。 コンテストで審査するひとは デジタル撮影で天体写真に精通したわけではないためコメントも的確ではなく、賞に 選ばれた人はそこに優劣があったがのごとく天狗になっていっている。

  さらには賞に選らばれた人が雑誌に取り上げられ画像処理の伝授などを行うなど、 これはもはや編集部の企画そのものであって、天体写真の技量をあげるとは言いがたい。  もしどうしても天体写真に優劣をつけるのであれば、それは市場であろう。 天体写真を 販売し、どの天体写真が一番売れるかで優劣が判断される。 音楽CDと同じ考えである。 

  ただ天体写真は科学的一面を大きくもち、プロ・アマ問わず宇宙の神秘に迫ろうとする 人類共通の大きなツールである。 自分の存在感をアピールするために着飾った天体写真は まさにアクセサリであって本来の目的ではないし多くの人はそれを望んでもいない。 デジタル 写真になって早10年以上は経つであろうがまだ過渡期であると思う。 洗練されていくには もう少し時間がかかるであろう。  

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