情報コラム 2009年8月29日 ICB


  モノクロ冷却カメラはフィルタワークをうまく使い分けることで様々な撮影方法がある。 RGB合成は 基本に従った純粋な撮影方法できちんとホワイトバランスさえ取れていれば誰でも美しい画像が簡単に撮れる。 LRGBは スペクトル的にはGの代わりにL(可視)を置き換えたもので、S/N的には有利ではあるがほとんどの人が カラーバランスで苦労するのであまりお勧めできない。 AOOは散光星雲で主に光っているHαとOIIIの 2色をRGBチャネルに分配したもっともシンプルな撮影方法で、網状星雲はびっくりするほど 星雲が浮き上がってくる。 この星雲に対してはこれ以上の撮影方法はない。

  RGB合成に準じた撮影方法をいくつか試している。 Rのバンド幅を広げたRiバンド、Gのバンド幅を 広げたVrバンドを使ってRiVrB合成すると、銀河や星団には効率よく高いS/Nを得られ、しかも カラーバランスが崩れるどころかモノトーンだった銀河の星々がビビッドになる。

  これを更に進化させてICBを試みてみた。 RGBのRの代わりに赤外、Gの代わりにクリアフィルタを 使ったRGB合成で、青〜赤外までの範囲を3色分解した撮影方法である。 これはシミュレーション段階で 判明したのだが、恒星に対してRGBとほとんど同じ発色をする。 しかもカラー画像でもっとも重要である Gチャネルがクリアであるからこれ以上の高S/Nはありえない。 

  銀河の撮影ではカセグレン系のFのやや暗い望遠鏡を使い、平均するとF8-10であろう。 ICBは RGBに比べ数倍の光量を得られるためF8であってもF4くらいの明るさに相当する写りが期待できる。 RGB合成 であるから画像処理も難しいことはなく、シンプルかつハイレベルの映像ができる最高の撮影方法に なるであろう。 欠点といえば屈折望遠鏡に求められる色収差レベルが更に高くなったことかもしれない。

M31のICB画像(露出各10分ずつトータル30分間)

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