情報コラム 2008年8月10日 補正レンズの役割


  望遠鏡の設計はカメラレンズのそれと思想が違い、中心部の性能を 第一優先にして収差が完全にゼロになるよう設計する。 もちろんカメラレンズも 中心部の性能は重視するが望遠鏡ほどではない。

  ユーザの要望から周辺までシャープな像を結ぶようにしたいということで 望遠鏡には補正レンズ類がオプションで用意されることがある。 用途によって 補正レンズの性能は変わってくるが、基本的には周辺像を改善するのが目的である。  しかし周辺が良くなる一方中心性能はいくらか落ちてしまう。 最近は安ければ ということでクローズアップレンズを使う例があるが、これは望遠鏡の補正レンズ 用として設計されたものではないので純正補正レンズ以上に悪化する。

  惑星撮影で使うバローレンズやアイピースもその例外ではない。 一見すると 何の劣化もなく拡大しているようだが、実際には劣化があるものの直焦点でピクセルに 解像度が埋まるよりはマシというだけのことである。 従って、技術がさらに 進歩していってCCDまたはCMOSセンサのピクセルが1-3ピクセル程度の高感度であれば、 直焦点で撮影した惑星のほうがより高解像になるかもしれない。 現状のカメラを 使うのであれば逆にF値が30以上の暗い望遠鏡を使うのも良いだろう。

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