情報コラム 2008年2月17日 ニュートン望遠鏡の凄いところ


  望遠鏡をはじめカメラレンズや顕微鏡対物レンズなどすべてコンピュータを 使って数値計算しながら設計される。 ”バーチャル”という言葉は「ほぼそれに 近い」というような意味を持ち、インターネットが登場してから良く使われるようになったが、 コンピュータ上における光学系もまたバーチャルである。

  どういうことかというと、コンピュータ上ではレンズの面精度やレンズの位置は 完全であると仮定しながら計算しているが、実際には面精度は有限でレンズ位置も いくらか誤差を持っているので完成する望遠鏡と設計上の性能には幾分差がある。  良いレンズ設計とはこれらの誤差(公差と呼ぶ)が少々発生しても設計性能を維持できるものを言う。 

  ミラーやレンズ枚数を増やせばその分自由度が増すため設計性能を高めやすいが、 その代わりアライメント誤差の可能性が増えてくる。 ということはもっとも少ないミラーに すれば光軸調整も簡単になり安定した星像を得られることがわかる。 そんな望遠鏡を 考えて思いつくのはニュートン望遠鏡であろう。 ニュートン望遠鏡は放物面だけから 成り何もしなくても光軸はでている。 ミラー研磨は大変ではあるが、一旦作られてしまえば 光軸が狂うことは永遠にない。 もちろんカメラがニュートンミラーの軸上にあっての 話であるが。

  天体望遠鏡はカメラレンズとは違って高い面精度を求められてはいるが、逆に カメラレンズなどは高い位置精度でレンズ配置をされていることを知っておくと良いだろう。  顕微鏡レンズになると小さいながらも望遠鏡並の高い面精度と高い位置精度で作られている。  さらに究極的なのは半導体を製造する上でもっとも重要なステッパーと呼ばれる 図面を焼き付ける装置に使われるステッパーレンズである。 色収差を無視した 設計ではあるが、数ミクロンという微細構造を結像することができる。   

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