情報コラム 2008年2月16日 シュミカセの凄いところ


  シュミットカセグレイン、通称シュミカセの凄いところは3つあり、まず挙げられるのは 主鏡のFが小さいことである。 主鏡のFを明るくすると望遠鏡全体がコンパクトにできるため 副鏡を小さくすることができる。 日本が誇るすばる望遠鏡をはじめ、世界の大望遠鏡の ほとんどは主鏡のF値が小さく設計されている。 天文台の望遠鏡ならともかく量産品で主鏡がF値が2.0というのは 球面鏡であるからこそできる技であろう。 副鏡が小さいと中央遮蔽が少なくなり、 そこで発生する回折の影響が小さくなって高倍率で有利になり惑星撮影向きとなる。 

  次に挙げられるのが副鏡が球面ということだ。 シュミカセは補正板・主鏡・副鏡の3つの 光学エレメントから構成され、3つすべてが一直線上に配置されないと設計性能を発揮することが できない。 球面はその対照性からセンタリングを不要とし、チルト修正するだけで自動的に センタリングが出る性質を持っている。 ドールカーカム式望遠鏡の光軸調整が楽なのは 同じ理由である。

  最後に挙げられるのは、すべての光学部品が球面研磨技術で生産されていることである。 補正板は 非球面ではあるが、真空容器の蓋に補正板を乗せて真空引きしながら球面研磨をすると シュミットプレートができるという技術を使って作られている。 大量生産においてはできるだけ 安定した歩留まりの良い製造工程が望まれ、シュミカセはまさにその理想とする 製造工程どおりに作られている。

  以上3つがシュミカセの凄いところを支える重要なポイントであるが、もう1つ付け加えるなら 補正板がミラー保護をしていることがサイドエフェクトかもしれない。 10年以上経つ シュミカセを分解しても主鏡は新品同様きれいである。 ロングセラーでありながらロング ライフタイムの望遠鏡でもある。   

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