情報コラム 2007年10月27日 画像フィルタの制限


  パソコンの普及と伴に映像がデジタル化され、誰でも簡単に画像を加工・処理することが できるようになってきた。 特に天体写真においてはモノクロカメラを使ってカラー画像を 作ることからソフトウェアで画像を処理することに何ら抵抗がない。

  しかしながら、ソフトウェアを使って画像を加工・処理することはデータの改ざんである。  ではどこからどこまでが許される範囲で、どこから先が許されざるべき領域なのだろう?

  CCDやCMOSといった受像素子にはモノクロとカラーセンサの2種類があるが、実はどちらも モノクロである。 カラーセンサと言ってもモノクロCCDの表面にフィルタを配置しただけのもので、 モノクロカメラにカラーフィルタホイールを付けて撮影するのと光学的配置はなんら変わりがない。  デジカメはカラーセンサを搭載しながらも、実際撮影された直後のデータはモノクロで、 これを映像エンジンなどによって処理しカラー画像ができあがる。 デジタルカメラの 画像もモノクロカメラを使ってRGB合成した画像も同じと考えてよいだろう。 この時点で カラー画像は完成とみなされる。

  では次のステップのソフトウェアによる色彩強調や収差補正のような処理はどうだろうか?  これらは明らかにデータの改ざんと考えてよく、証明写真には使ってはいけない。 一般の写真 コンテストなどでも合成・加工を禁止したものも多く、できれば天体写真においても これらと同様に2次加工を禁止したルールなどを設けたほうが良いと思われる。

  メーカが作ったハードウェアを使って撮影された画像と、それを使うユーザがデータを 加工するのには何が違うだろうか? 大きな違いはプロとアマの違いと考えて良いと思う。  望遠鏡にしてもカメラにしてもそれを作る専門家が理論や技術を駆使して完成させたものに対し、 ユーザがソフトウェアで画像を処理するのはアマチュアのお遊びである。 観測という意味合いを 重視するならRGB合成までの画像にトーンカーブを加えた程度までを許容範囲とし、そこから 先の処理に関しては極力控えるべきと考える。 画像処理を楽しんでいるユーザのほとんどは 自然に見えれば良いと考えているのだろうが、その「自然に見える」が一体何なのかはっきり 定義できない以上は客観的データとして見ることはできない。 特に天体写真は 後世に映像が残る場合が多いのでデジタル写真が始まった今慎重に行動すべきと思う。

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