情報コラム 2007年7月13日 太陽系の重心


  コペルニクスの地動説が正しいと理解されるまで大変長い時間が経ち、 今ではこれを疑う人はいないだろう。 しかし本当にそうであろうか?

  太陽系の天体は太陽を含めて太陽系の重心を中心とした円または楕円軌道を 描いている。 正確に言えば、完全に円・楕円ではなく周囲の天体の重力の 影響を受けているから、例えば質量の大きい木星に近い天体は不規則な動きをする。 '93年の シューメーカー・レビー第9彗星の木星衝突はまさにその典型であろう。

  ではその太陽系の重心とやらはどこにあるのだろうか? 多くの人は 巨大な太陽内部の中心付近であるに違いないと思い込んでいるだろうが、実はそうではない。  太陽系には木星という巨大な惑星があり、その質量は太陽の約1/1000である。 従って 太陽と木星を結んだ直線を1000:1に分ける点がほぼ太陽系の重心と考えて良く、 驚く無かれこの重心は太陽の外側に存在する。 従って、太陽もその点の周りを 周っている。

  惑星にしては木星はとても大きいが、それでも太陽の1/1000程度で太陽系には それ以上大きい惑星もない。 それが幸いしてか地動説が正しいと言えるのだが、 もし巨大惑星がいくつもあり、さらにその質量がかなり大きい場合には重心は太陽から もっと離れ地動説も正しいとは言えなくなる。 あたかも万物普遍の法則のようなイメージをもつ 地動説も、われわれ太陽系のみ通用する話なのだ。

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