情報コラム 2006年1月9日 彗星の黒い尾


  95年の百武彗星を撮影したときに初めて気づいたのが、彗星の尾の両側に背景より 黒いラインが見える彗星がたまに見られる。 これについては以前から議論になったことの ある現象であるが、これが本当に黒いのかどうかは定かでなく「そう見えるのだ」という 程度の話にとどまっている。

  銀塩フィルムでは現像時のテクニックとしてエッジ効果というのがあり、あまり攪拌 しなければエッジ部分が強調されてシャープに見えるというものがある。 これが彗星の 尾にも当てはまると考える説があるが淡い尾の周りにエッジ効果が出るのは 考えにくいと思っている。

  人間の目の性質としてマッハ効果というのがあり、明暗さのある場所をみると それを強調してみる「クセ」がわれわれの眼には備わっている。 ただこれも大きな映像に対してよく 働く作用で、写真などの狭い部分を見るときにはあまり働かないのでマッハ効果説も 疑っている。

  結局のところ彗星の黒い尾についてははっきりしたことがわかっておらず、 黒い尾の存在よりも「そう見える」という人間の見間違いという考え方が 優勢である。 金星のブラックドロップを現像の不適切さをだれも疑わなかったのに 対し、彗星の黒い尾は自分の目を疑うという正反対の人気ようはなんとも悲しい。  私としては黒いススのような物体が飛び散って黒い尾として見えていると思っているが、 今後の観測でその裏づけを取りたい。   

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