情報コラム 2005年10月25日 ナローバンドフィルタの半値幅


  いくつものメーカーからナローバンドフィルタが発売されており、同じ中心波長でも バンド幅の違うものがある。 初心者はもちろんハイアマでもバンド幅の選択に 悩んでいることだと思うので選び方について説明してみよう。

  知っての通りナローバンドフィルタは主に星雲の光だけを通して他の光を通さない 特性をもっているので、口径以上の写りを見せてくれる魔法のようなフィルタである。 ただ ここで勘違いしてはいけないのが、星雲の光を通すということは「相対的に」ということであって 絶対的な光量はかなり少ない。 たとえばHαFWHM=3nmのフィルタはRフィルタにくらべ1/30程度の 光しか通さないため単純に考えても30倍の露出時間が必要で、光害を考慮しても10〜20倍の 露出時間は必要だろう。

  光害もカットするのだから暗い空で撮影したことに相当し、露出時間が短くても 良いのではと思いがちだが、先にも説明したように絶対値が小さいためにダークノイズや 読み出しノイズそしてなによりフォトンノイズの影響でちょっとやそっとではS/Nは向上しない。

  つまりバンド幅が細ければ細いほど星雲の描写力は向上するがその分露出時間も長く する必要があり、逆にバンド幅が広ければ描写力が落ちるものの露出時間は短くて済む。  この関係はほぼバンド幅に比例・反比例していると考えて差し支えなく、自分のスタイルに あわせて狭いフィルタにするか広いフィルタにするか決めると良いだろう。 とことん 究極の映像を目指すのであれば一番狭いフィルタを使えばいいし、ある程度星雲が強調 されるなら広めのフィルタで良いだろう。 

  忘れてはならないのは、フィルタ特性は 光線の入射角度によって変化し、斜めの光線ほど短波長へシフトするのでF2.8より 明るいレンズを使った場合にはバンド幅が広がった特性になっていると思ったほうがよい。

TOP
mail