情報コラム 2005年10月2日 今年の火星


  今年の火星はおととしの大接近に比べ若干小さいものの高度が非常に高いので、 写りは今回のほうがかなり有利だと思う。 実際インターネットで出ている画像を 見ても視直径が小さい割には比較的良く写っているのは、技術の向上も当然 あるだろうが地平高度が高いせいでもあろう。

  宇宙からやってきた光が地上に到達するまでの通った距離を表すのに エアマスというファクタが使われ、天頂から天体までの角度をコサインの逆数で計算する。  2003年の火星の高度が約40°超だったのに対し、今年の火星は70°を超えているから、 エアマスで比較すると2003年が1.55だったのに対し、今年は1.06とほとんど1.00に近い。 

火星の見かけの大きさが24%違うのに対しエアマスが50%も小さいのだから 解像度の高い火星を見るチャンスは多いと言えるだけでなく、大きな望遠鏡の 能力を発揮しやすくなっているはずである。 つまり前回であれば大きな望遠鏡の 能力を発揮するチャンスが少なかったが、今回であれば大きな望遠鏡こそ 威力を出し切れるかもしれないので、見かけは小さいものの今回のほうが 最高解像度は高いかもしれない。 もちろん季節的なシーイングの 良し悪しもあるだろうが、今後火星は小さくなっていくだけに今回こそ がんばりたいものだ。

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