情報コラム 2005年8月24日 CCDの相反則不軌


  銀塩フィルムからカメラを始めた人なら相反則不軌という言葉を聞いたことあるだろう。 露出を 伸ばしていくと感度が低下していく現象で、露出1/100秒で撮影する風景とND4(露出倍数10000倍)をレンズに 付けて露出100秒で撮影した写真では、数学的にはまったく等価な写真が得られるはずなのだが、実際には 後者のほうが暗くなるというものだ。 デジタルカメラになってから相反則不軌というものはないと言われているが、 実は相反則不軌に相当する現象がある。

  CCDチップの感度はシグナルとノイズの比つまりSN比で定義され、いくら微量なシグナルを拾っても ノイズが多いのでは感度が高いとは言えない。 CCDの大きな弱点であるダークノイズは 露出時間を延長していくと増えていき、ノイズリダクションしないとかなり目障りな画像になってしまう。  ノイズリダクションとは長時間撮影後にシャッターを閉じたまま同じ露出時間でダークノイズだけを撮影し、 メモリに記録する直前に撮影したデータからダークノイズのデータを引き算する処理であるが、引き算して 完全にダークノイズをゼロにすることはできず僅かながらのこってしまう。

  このダークノイズはCCDの温度が上昇するとノイズの量も増えていくので、撮影を続けていくと ノイズリダクションを行っても画面がざらざらしてきてノイジーな映像になり、同じシグナルを拾っていても ノイズが増えた分だけSN比は下がり、結果感度は低くなってしまい相反則不軌と同じ現象が デジタルカメラでも起きてしまうのだ。

 ちなみにノイズがゼロのカメラを作れば感度が無限大になるかというと実はそんなことにはならず、 シグナル自身がもつ「フォトンノイズ」が残っていて感度は有限値である。

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