情報コラム 2005年7月23日 ミラーの厚みはなぜ1/6?


  一般に望遠鏡のミラーの厚みは直径の1/6あれば良いと言われている。 「言われている」のであって 自分で確かめたわけではないから信じるしかないと思っていたが、良い機会だったので簡単に計算してみた。 

  物体の曲げ具合を測るパラメータにヤング率というものがあり、決まった方法で力を加えていって どれだけ歪んだかによってヤング率という値が決まる。 理科年表に融解石英のヤング率が乗っているので それをつかって歪み量を計算すると、たとえば30cmの正方形で厚み5cmに自重に相当する100Nの力を加えると 約250nmだけ歪む。

  一般的なヤング率を計算する方法では自重を考慮しないのだが、実際ミラーに加わる力は自重の数分の1と 思われるので恐らく上のケースだと50nm程度だと思われる。 石英はガラスの中でも固いほうだから、それを 考慮しても100nm程度ではないだろうか。

  仮定の部分が多いが大雑把ながら100nm程度であれば確かにミラーの直径の1/6の厚みがあれば 面精度を維持できることがわかった。 ちなみに石英とアルミニウムのヤング率がほとんど同じだったのは 意外であった。

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