情報コラム 2005年1月19日 2005年の火星


  2005年の主な天文イベントは1月のマックホルツ彗星と10月の火星接近の2つで、すでに 1つ目の大イベントのピークは過ぎてしまっている。 ということは次の火星接近に向けて 徐々に準備をしていかないといけないわけだ 。

  2003年の火星大接近を観望・撮影の両面から楽しんだが、個人的には撮影よりも 観望したほうがとても印象に残っている。 サイパンで見た視直径17.5"の火星は、日本で見た 大接近時(視直径25")の火星より何倍も細かく見ることができ、例えて言うなら双眼鏡で月面を見た程度の 解像力があった。 実際計算上でもその通りで、宇宙船に乗って火星旅行へ行ってきたような 印象はまだ消えない。 ちなみに大接近直前にオーストラリアへ行ったが、サイパンで見た 火星のほうが解像力で勝っている。

  火星の特徴である極冠は注目すべき箇所であるが、じつはこれが厄介でもある。 というのは、 真っ白く明るい極冠に対し、火星本体は赤く相対的にやや暗い。 それゆえ、大気のプリズム効果で 極冠の境界域での虹色が良く目立つ。 これを除去する優れものがあって、大気と同じ分散角をもつウェッジプリズムを 使うと、目ざとかった極冠の色のにじみがきれいに消えてくれる。 これを例えて言うなら アクロマートで見ていた星がアポクロマートで見たときのような映像に生まれ変わるといっても 過言ではないし、それどころか適切な表現である。 まだ一部の観測家にしか使われていないが、 色にじみが消えるだけでなく解像力もワンランクアップして見えるのでぜひぜひ使ってみると良い。 

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