風がなく極軸が合っていれば、赤道儀のトラッキングの軌跡をグラフにすると ほとんどが東西方向でサインカーブ、南北方向で直線を描く。 オートガイダーの露出時間を短くして 大気の揺らぎを補正しようと考えても到底無理な話で、通常数百Hzの高速修正が必要である。 SBIGのAO-7ですらシンチレーションを補正することはできないのだから、応答速度の遅い赤道儀で 無理にトラッキングしても返ってガイドミスを招くだけである。 赤道儀の追尾エラーはピリオディックモーションが主な原因であるから、この動きを修正 できればガイドができたと考えてよいだろう。 ピリオディックモーションは赤道儀のギアホイールの 歯数に応じて運動周期が異なり、歯数が多いほど周期の短い動きをする。 たとえば240枚の歯数で あれば周期6分間のサインカーブを描く。 ピリオディックモーションの動きをサイン関数で近似すると次のようになる。 x = A sin( 2π/W * t ) (A:エラー振幅、W:Pモーション周期[分間]) これを時間tで微分するとx方向の動きの速さがわかる。 vx = 2πA/W cos( 2π/W * t ) ここで最大の速さvxは2πA/Wであるから、Δtの間に最大 2πA/W*Δt だけ動くことになる。 追尾エラーの許容範囲をピリオディックモーションの振幅の1/10とするととても便利な数字が 出てくる。 つまり式で書くと、 2πA/W*Δt = A/10 であるから、 Δt = 1/20π * W ≒ 1/60 * W となり、このΔtであるガイド時間(露出+修正)はピリオディックモーションの周期[分間]を秒数に 変えた時間になるのだ。周期6分間の赤道儀であればガイド時間を6秒にするということだ。 TOP |