情報コラム 2004年7月2日 土星の輪


  土星探査機カッシーニが撮影した土星の輪が配信されている。 20年以上も前から 土星に探査機を送りその映像を地球へ送信してきているので、特に目新しいわけではないが、 なぜあのようないくつものリングが重なっているのか不思議である。

  銀河といい土星の輪といい美しいものは大抵その力学的メカニズムが解明されておらず、 自分で考えるしかない。 まず土星の輪の特徴として、輪は土星本体の赤道面に 存在するので、土星の回転と深い関わりがあることがわかる。 

  次に、輪の濃淡は連続的なグラディエーションではなく不連続性が見られることから、 輪の種類が変わると物理的性質も異なると容易に予想される。 粒子が存在する数密度や その大きさが異なるにはその境界面で何らかの物理作用が起こり性質を隔てているのだろう。

  輪は土星本体の重力に支配され、互いの輪の回転速度は土星からの距離によって異なるため 摩擦が起きているはずである。 通常衛星の回転方向は惑星の回転方向と同じなので、 ここでおそらく重要なキーとなるのは各岩石の回転軸である。  ある輪の中は右回転ばかりの岩石がそろい、隣の輪はその右回転とぶつかったときの作用で 左回転になり、さらには弾き飛ばされそのような衝突が長い間繰り返されて今のような 輪ができあがったのかもしれない。

  ある輪の中の岩石がすべて揃って右回転または左回転しているわけではないが、統計的には その傾向が必ず存在するはずであるから、土星の輪のメカニズムの解明には個々の岩石の 回転軸を調べる必要がでてくる。 今後さらに詳細な観測が輪の構造を解明につながるであろう。   

TOP
mail