タイムマシンを考える前に時間そのものが何であるかを考える必要がある。 時間は直接計ることができず、物質の状態の変化を使ってのみ計ることができる。 たとえば、物質の年代を計るには同位体の比率を用いたり、1秒を定義するには 原子時計を使う。 つまり、物質の状態が過去の状態に完全に戻れば過去に戻ったといえるのだ。 まず1粒子(質点)だけの世界を考えると、この粒子は空間的に3つの自由度があるが 粒子の向きもなければ位置も計ることができないので、時間が存在せず止まっていると 言っていいだろう。 つぎに2粒子が存在する世界では、万有引力の法則にしたがって2点間の距離が変化 するので時間は存在する。 しかも、この2粒子の運動は完全に数式で記述でき、周期的 運動をするので同じ状態が何度も起こるから、まさに「歴史は繰り返される」の完全版である。 さて、3粒子以上になるとやっかいになり、運動を数式で記述することはできず周期性も特別 なケースを除いては起きないので、歴史は繰り返されず昔が再現できない。 したがって、 3粒子以上になると時間は一方通行で、現在の世界のような超多粒子系ではタイムマシンを つくるのはほとんど不可能であろう。 実は今までの話は古典力学の上での話しで、より厳密に議論ができる量子力学では 1粒子自体の位置を100%決定することすらできないため、2粒子の世界の時点で タイムマシンがほとんど不可能であることがわかる。 ただ、今の話でタイムマシンの 製作が不可能というわけではなく、非常に可能性の低いというだけで、もしかしたら 製作可能であるかもしれない。 TOP |