2004年6月8日130年ぶりに金星が太陽面を通過する金星日面通過が起きた。 惑星が 太陽の前を通過する現象は珍しいが、もっと珍しい現象があると信じられている。 それは 太陽の輪郭と金星の輪郭が接触するとき接触部分が水滴のように垂れて見える ブラックドロップと呼ばれる現象。 光学に詳しい人にとってはちょっと信じがたい現象で、シミュレーションしても そのような映像結果は見られない。 となると天体現象なのかと思われるが 実はそれでも説明が難しい。 そこで忘れてはならない画像処理的見地で考えてみると実に簡単に説明がつく。 金星と太陽が接触している画像を持ってきてコントラストを強調するとブラックドロップが 見事に現れる。 シミュレーションでも実写画像でもブラックドロップを出現させる ことができ、おそらく間違いなく画像処理の賜物であろう。 銀塩時代主流だった撮影方法はTP2415やミニコピーIIを使い超高コントラスト 仕上げでぼけた輪郭や淡い模様を強調することであったため、昔の写真には ブラックドロップがよく見られたのだと思う。 デジタル時代の現在、CCDカメラで 撮影した画像にブラックドロップはほとんど見られない。 しかも超高解像映像に ブラックドロップなど微塵たりとも写っていないのだ。 人の心を魅了する不思議な現象の中には、見落としがちな要因がからんでいる ことも少ない。 見た目に捕らわれずにしっかりと地に足を付けて 歩きたいものだ。 参考:シミュレーション画像 TOP |