情報コラム 2004年5月8日 彗星のための画像処理


  彗星撮影は高い画像処理技術と一貫したスタンダードな処理の両立が問われる対象である。  まずスタンダードな処理には未知なる色をできるだけ忠実に再現するためにRGB合成画像を使うことを 強く勧める。 適切なフィルタとホワイトバランスさえ取れていればRGB画像はほぼ忠実な色再現を してくれるからだ。 LRGB合成は既知の天体には向いているが、低空かつ未知の天体を客観的に色再現する ポテンシャルが非常に低い。 

 また、IDASから発売されているRGBフィルタの中でも従来タイプの物は非常に 色再現に優れており、地上風景やカラーチャート撮影でもほぼデジカメや銀塩写真と同じ映像を 映し出してくれる。 Type3や4になるとRが短波長でも透過特性を持っているので不向きである。

  次に高い画像処理技術として、背景補正や低空によるカラーバランスの崩れを補正する技術を求められる。 最近ようやくステラ4で背景傾斜を補正する機能が付いたのでこれは活用したい。 MaxImDL/CCDでも RemoveGradientで自動補正できる。 最も厄介なのがカラーバランスの崩れで、どれだけ崩れているかが わからないことが多いので背景の恒星を使って元に戻すのが確実である。 ただ背景の星の色を スターカタログで調べても、カタログ自体エラーが入っているので完璧をめざすのは難しい。 だからと いって諦める必要はなく、通常のホワイトバランスに10-30%程度の赤みが帯びていると仮定して 逆補正するのでもOKである。

  以上2つの処理がマスターできれば、誰が見ても満足してもらえる画像ができる。 逆に誰が見ても 満足してもらえないようであれば、上の2つの処理が未完であるとも言えよう。

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