「なぁんか面白い本な〜い?」とやってくるお客さんに、こんなの有るよという雰囲気で
いきます。こちらも出入り自由、お目当てが本ではなく、お喋りだけの子も・・・。
最初が肝心?
なぁんだ、ここは子どもの本しか紹介しないんか?と思われてはいけませんので、初回は大人の本。
著者は五味太郎さんです。おっとここで又、やっぱり子どもの本やんけ?と言うあなた、ちょっとお待ちを・・・。人生50年以上やってこられた五味さんが、ここらでちょいと立ち止まって、何が問題なのか考えてみるべ・・・と書かれたのが、「ここまできて それなりに わかったこと」(講談社・2001年)です。
個人的に、近年の癒し系?のほんわかした絵本?は苦手ですが、これは見事に過激にバッサバッサ切ってくれます。すごーく納得できるし、笑えるし、何せ明日への生きる希望が湧いてきます。
でもやっぱり児童書ではありません、たぶん子どもには難しい言葉が、難しい社会の構造がでてきます。同じ著者の「そういうことなんだ」(青春出版社・1997年)や「馬鹿図鑑」(筑摩書房・2001年)に至ってはもっと刺激的で、決して子どもには見せられません。
「大人問題」(講談社・1996年・文庫本もあり)、「さらに大人問題」(同・1999年)もオススメです。
もう1つの理由
HP開設に至るには、もう1つ理由がありました。8月上旬・中旬のあの頃、よぎる思いを自分の中だけに留めておけなかったのです。もう下旬に突入しますが、どうしても8月に書いておきたかった本です。(今回は大人の本と子どもの本混在)
始まりは一見何の関係も無さそうな本から・・・、灰谷健次郎「風の耳朶」(理論社・2001年)。(因みに私は灰谷さんの講演会にも行くミーハーぶり、ご本人を拝見しました!)ヒトはどのように老い、どのように生涯を終えてゆくか・・・そろそろ気になる年齢になり、そんな単純な理由で読み始めたのですが、その中に『無言館』が出てきます。
『無言館』とは、長野県上田市にある『信州デッサン館』館主の窪島誠一郎さんが作った、戦没画学生の絵を展示している美術館です。窪島誠一郎著「無言館」(講談社・1997年)、「無言館を訪ねて」(同・1999年)、「無言館の詩」(同・2001年)は、いずれも解説付き画集です。
思えばあの頃を語る生き証人も減り、あとに残された我々は語り継ぐ責務があるのですが、小学校の図書館で子ども達の反応はイマイチでした。読み語り(読み聞かせ)に使った絵本は、丸木位里との共同制作『原爆の図』で有名な女流画家丸木俊の文・絵「ひろしまのピカ」(小峰書店・1989年)、松谷みよ子文・丸木俊絵「とうろうながし」(偕成社・1985年)です。
九州では夏休みに登校日があり、広島や長崎に近かったせいか必ず平和教育を受けました(その内容の良し悪しは専門外なのでさておき)。上記の絵本は、幼稚園の頃から何度も何度も先生に親に読んでもらっています。しかし内容が難しいのか?なかなか理解を示しませんでした。それが突然、思春期になったある日「いい本だね・・・」とポツリ。長い道のりでした!
いつも思います、その時わからなくてもいい、万一聞いていなくてもいい、ひょっとしたら毛穴からも入るんじゃないかなぁ?って。今わからなくても、いずれ・・・。全員がわからなくても、たった1人だけでも・・・。地味な本も、分け隔てなく地道に紹介してゆけたらいいなぁと思います。
例えば長崎の小崎侃の作・版画「ピカドン」(汐文社・1991年)、那須正幹文・西村繁男絵「絵で読む広島の原爆」(福音館・1995年)なども。中沢啓治「はだしのゲン」(色々な出版社から出ています)に至っては、英語のみならずロシア語にも翻訳されているんですね。
ヒトは、時々ふり返ったほうがいいと思います。
書き出すと止まらなく・・・
今回は、加古里子さんです。女性?いえいえ、「かこさとし」さんは1926年・福井県武生市出身の男性です。武生と言えば、作曲家細川俊夫さん・Vn漆原朝子さんの武生国際音楽祭で有名ですが・・・おっとここは図書室でしたね、話を戻します。
絵本作家の加古さん(例えば、だるまちゃんシリーズと言えばご存知でしょうか?)、最初から絵本作家ではなく民間の化学会社出身というところも魅力的です。なぜなら、確かな科学者の目で描かれているからです。さてそんな事は私が言うまでもなく、「加古里子 絵本への道」(福音館・1999年)や月刊誌「MOE」(白泉社・2003年4月号)に詳しいのでご覧下さい。
ここでは、500冊以上もある加古さんの本の中から、実際手に取った中でも気に入っている本をいくつかお話ししましょう。「うたのすきなかえるくん」(PHP研究所・1977年)など良いですよ〜、お話の面白さがわかりかけた子どもにうってつけ。好意をもっているかえるちゃんが入院してしまい、花束を持ってお見舞いに行くのですが、行く途中で出くわした葬送の列・・・もしや!と、大泣きするわけですよ。あそこまで愛されたいとか…(笑)この本は紙芝居版もありますが、省略?してあるので、本を絶対お薦めします。
「あなたのいえわたしのいえ」(福音館・1969年)を見ていると、とても幸せになります。ストーリーのある話しではなく、世の中には色んな家があり色んな人々が生活しているというのを家の断面図などで表しているだけですが、眺めていると贅沢や欲望が無意味に感じます。取り敢えずウサギ小屋でも雨露しのげて暮らせる家が有るという事実に、もっと感謝すべきだと反省させられるのです。
「ことばのべんきょう@〜C」(福音館・1970〜75年)くまちゃんの家族を登場させて、正しい言葉を勉強してゆく訳ですが、日本語の乱れている昨今、大人ももう一度学びなおした方が良いような気がします(笑)。これは、忘れ去られようとしている日本の古き良き伝統を学び直す?川浦良枝著「しばわんこ和のこころ」1&2(白泉社・共に2002年)にも同じ事が言えます。
「うつくしい絵」(偕成社・1974年)これは美術の入門書みたいなものですが、美術と言えば授業で出会うぐらいで、親が好きでなければ子どもが美術館通いするわけもなく…でもこの本を読むと、行きたくなる見たくなる!小学生ぐらいから美しい絵に接し、美しいものを美しいと感じる感性、磨けたらいいなぁと思います。音楽も同様で、本物を初めて聴いた時の子ども達の感動は、格別です。
「くもりのひのおはなし」(小峰書店・1998年)これは他に「あめのひの・・・」「はれのひの・・・」「ゆきのひの・・・」と全部で4冊あるのですが、「くもりのひ・・・」は絶品!大人でも憂鬱な、雨が降るのか降らないのかハッキリしない日を、どうやったら楽しく過ごせるか描いてあり嬉しくなります。加古さんは、何も無いところから遊びを見つけ出す天才だと思います。
他にも、科学絵本、遊びの絵本、いわゆるお話しの絵本、もう沢山ありすぎて紹介しきれません。素朴な独特の画風に、あちこちに込められたメッセージに、大人の方も是非触れてみて下さい。喜寿になっても、夢と遊び心を持って生きたい・・・
好きだった人
今回は以前掲示板で予告した、ドイツのエーリッヒ・ケストナーについてです。なまじっか知ってしまうと、ここ1枚では書ききれないぞ〜等と責任を感じてしまい、なかなか取り掛かれなかったのであります。(いっつも言い訳しとる管理人・笑)
何を隠そう、ケストナーの本に小学生の時出会ってからその魅力に取り付かれ、学生時代は彼の作品の邦訳リストを作るのに全エネルギーを傾けた事もあります。なんせ今のようにパソコンで検索など出来ぬ、図書館にも蔵書検索システムは無く、ひたすら全国の図書館を駆けずり回り長〜い引き出しに収められた目録カードをあさり、古書店街を歩き回り…。
さてケストナーと言うと多くの方は、ああ児童文学者かとか、「エーミールと探偵たち」・「飛ぶ教室」・「五月三十五日」・絵本「動物会議」(人間には任せておけん!と動物が戦争反対の会議を開く)などを思い浮かべるでしょう。おおかた当たっていますが私は、そういう表には出ない、ナチスに一般書(大人向けの本)を焼かれた風刺作家としての彼にも惹かれたのです。
ユダヤ人ではなく、革職人の父を持つドイツ人でしたが(ユダヤ系医師との間に出来た子との噂もあり)、新聞社に勤めるジャーナリストとして正しい事を正しいと主張しました。ところがその過激な発言ゆえ、新聞社は解雇になり、当時のドイツには相応しくないとの理由でナチスの焚書にあうわけです。
だから現存する一般書はほとんどありません、児童書だけが、ごく一部の大人向けの本だけが残っているのです。しかし児童書とて、およそ子ども向けには多くの大人が避けてきた問題に逃げる事無く正面から取り組んでいるのです。しかもユーモアたっぷりに!
子どもの時私は、このケストナーおじさんは大人なのに何故子どもの気持ちが解るのだろう?と不思議でした。そして大人になってからは、大人になっても少年の心を失わず、ナチスの迫害を受けながらよくここまで書いてくれた!と拍手を送りたい気持ちで一杯になるのです。
子ども向けのイチオシは「ふたりのロッテ」です。以前美空ひばりさんで映画化もされたとか、ミュージカルになったり、TVでも放映されましたが、やっぱり1度本で読んでみて下さい、泣けます。(ここでルイーゼちゃんとロッテちゃんが出てきます)
一般書では、一家に一冊「叙情的家庭薬局」「人生的処方薬」などと邦題がまちまちですが、一般的にケストナーの人生処方箋と呼ばれている詩集です。訳者では高橋さんか小松さんがお薦めです。
「点子ちゃんとアントン」も映画化され、近々観に行きたいと思っている映画「名もなきアフリカの地で」(ケストナーに無関係)と監督が同じだそうです。ケストナー作品を取り上げた人なら…と、期待も大。
伝記では高橋健二さんの「ケストナーの生涯・ドレースデンの抵抗作家」(1981年・駿々堂出版)が正統派で有名ですが、1999年に出たクラウス・コードン著「ケストナー・ナチスに抵抗し続けた作家」(偕成社)は衝撃的でした。
心酔していたケストナーの奥さんだと信じていた長年連れ添ったルイーゼロッテさんは愛人だった(つまり結婚ではなく同棲していた)こと、もう1つは本当に若い愛人がいて子どもまで生ませていたこと。でも、そんな俗っぽい事を知る前に、彼の作品と出会い、彼の生き方に触れられた事に感謝します。そして、今でも好きです。
図書室
ズバリ!その名も図書室。先日来、掲示板で話題になりました図書室、もちろん管理人は大好きです。近年、図書室の保健室化なんて言葉も耳にする中、何故本好きに図書室・図書館好きになったかを、少しお話します。
幼少期に遡ります、田舎に住んでたので幼稚園が遠かったのでしょうか、母に幼稚園に行きたいか?と問われ、生意気にも「別にぃ」と答えた私(送り迎えの煩わしさから解放されさぞや喜んだ母)。しかし、当時は兄弟姉妹も無く、親も遊んではくれず、暇を持て余した私は母が読んでいた「主婦の友」などを愛読していたようであります。
後に妹が生まれるのですが、生後間もなく腸閉塞の手術に耐えられず亡くなります。また1人っ子、暇で暇でしょうがありません。淋しく1人トランプ占いをするか、本を読む以外に楽しみを見つけられなかったのです。(暗っ)
旧友達は知っていますが、家は厳しくTV禁止!ごく1部のニュースと天気予報しか見せてもらえませんでした。家庭では英語で会話しているらしい…なんて、デマまで飛びました(両親が英語教師だったので)。勿論門限も厳しく、帰宅後する事が無い!
幸い親が買ってくれた、世界少年少女文学全集(毎月分厚いのが1冊ずつ届くタイプの)だけが私の楽しみとなりました。しかし今思えば、小学生で魯迅の「阿Q正伝」や、トルストイ…解るはずもありません。でも、漫画も禁止されていたので、読み物はコレしか無かったのです。面白いのに夜8時には寝かされる…、だから薄暗くなっても天井の電気を点けに立つ時間も惜しく、これが目を悪くした原因だと思っています。
その後、小中学校の委員会活動は殆んど図書委員に立候補していました(中学では生徒会にも手を染めてしまいましたが…)。図書室は地域・時代によっても千差万別で、図書館員の常駐する所から、倉庫状態の所まで。私の通った所はほぼ倉庫状態でした。だから購入も1冊づつ良書を選んだりはしない、いわゆる業者の作った学校図書にお薦めのリストから適当に全集を入れているタイプでした。でもお蔭で、1冊読んだら他のが読みたくなる…ってなもんで、特に佐藤さとる氏のコロポックル・シリーズや、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ全集などははまりましたね。ケストナー全集に出会ったのも、ここです。
後に、学校図書を読み飽き、文学少女だった当時の親友と一緒に公共図書館通いを始めます。ここに置いていた、今で言うヤングアダルト…これが非常に悪かった!宇野なんとか言う人の官能小説のジュニア版がずら〜っと置いてある訳ですよ。図書館員は、いったい何を考えているのか!かなり不快になりました。と同時に、ウブな私はその文学少女に大人の世界を教わったのでもあります。
後は、学校図書館にも公共図書館にも幻滅して、文庫本を買って読む…に走ります。おとなしく壷井栄や坪田譲治を読んだり、時に太宰や五木寛之を読んだのも中1の頃。この青春の門の舞台に将来住もうとは、つゆ思いませんでした。
高校時代は、本を読んでいると同級生に遅れを取るとか、入試に失敗するなんて変な強迫観念があり、なかなか集中して読めませんでした。でも図書室・図書館への夢を捨て切れず、図書館の学校に入ってから、どどっと児童文学に入っていったのです。学校に併設の児童図書館で、地域の子ども達を相手にするのも面白かったし…。その後の人生で出合った公共図書館は、素晴らしい所ばかりでした、多少の長短はあれ。
しかし図書館との関わりはここで終わらないのです、就職は生憎?本屋さんでしたが、やむを得ず結婚退社したあと住んだ九州の小学校で、図書室のお手伝いをするPTA役員を募集していたのです。勿論飛び込みました、のめり込みました!図書に夢中になって家庭崩壊までしたか?と噂されました(笑)。
それも事情により引っ越さなくてはならなくなり、新地で路頭に迷っていた所、またまた児童図書館との出会いがあったのです。本を借りるのではなく、お喋りだけに来る子、時に母親代わりに?甘えてくる子、スカートの中に入った男の子もいました、おいおい!これが保健室化の一端です、淋しいのでしょうねきっと。多くの人々の協力で、感動を作る喜び、与える喜び、共に感動する喜びも知りました。
これからどんな人生になるかわかりませんが、きっと本好きで、音楽好きで、年老いて行くのだろうな…と。せっかくなら、自分の知っている僅かな事がらを、少しずつ書き留めておこう…と。これだから、図書室はやめられないのです。
落語は極楽じゃ
※常福寺さんにいただいた画像です
ここに1冊の本があります、去年図書館に入れた「ごくらくらくご」おもしろ落語絵本(絵・飯野和好、小学館、2002年)、著者は密かに憧れる桂文我さん。新作落語で、内容は「たぬきの入学式」「おべんとすいと」「かっぱのカッパ」「おもいたんざく」「ざしきわらし」「すいかのたねあかし」。
この時点で、管理人はまだ落語にはまっておらず、ましてや文我さんの生を聞いた事も無かったのです。しかし、何と言ったらいいのでしょう、虫の知らせ?直感?こりゃいけるぞ〜と迷いも無くこの本を入れたのです。
案の定いけました(笑)、おやじギャグとか単なる笑い話ではなく、未知なる落語には何か深いものを感じます。落語的なものの考え方発想は、人生をも変えるのでは??という勢いです。以後、すっかり文我さんにはまってしまった管理人としては、文我さんの全ての著作を紹介せずにはいられません。
最初にお断りしておくのは、次々と出版されている為、2004年の正月現在の時点での物に限ります。
まず「えんぎかつぎのだんなさん」(絵・梶山俊夫、福音館書店、何と2004年1月に出たばかり)、縁起のいい言葉しか好まない旦那さんのために、丁稚2人があれこれします、猿…もとい、ザルも登場します。
それから「ごくらくらくご」第二弾おもしろ落語絵本2も出ました!(絵・飯野和好、小学館、2003年11月)内容は、新作落語「月とおだんご」「本を読んでるもん」「5年分のプレゼント」「おかしな七福神」「雪女のたん生日」「くいしんぼうのひなまつり」です。
このシリーズの絵を描いている飯野さんは、「くろずみ小太郎旅日記」シリーズ(福音館)や、「ねぎぼうずのあさたろう」シリーズ(福音館)が大人気です。江國香織さんの大人の恋?「草之丞の話」(旬報社)なども絵を描いています。ご本人には失礼ですが、文我さんの爽やかさに比べ、飯野さんはお髭面で爽やかさにはほど遠いのですが…絵は別格です!独特の絵を描かれます。
次に、『きみもなれる落語の達人シリーズ全5冊』(岩崎書店、2000〜2001年)として出たのは「まんじゅうこわい」「たぬきのサイコロ」「どうぐ屋」「てんぐの酒もり」「サギとり」の5冊で、それぞれの中に標題以外の落語も入っています。「サギとり」は、文我さんの生で聞きまして、サギの格好といい、サギを呼ぶ声といい、惚れ惚れしました。有名なお話なので、多くの噺家さんが演じますがね。
それから「ちゃっくりがきぃふ」(絵・梶山俊夫、福音館、2002年)一体何の事かと思いましたら、茶・栗・柿・麩です。これらを売りに行くんですがね、全然売れない…ので「ちゃっくりがきぃふ〜♪」と叫んで売り歩く…これは楽しい!子ども達が喜ぶこと間違いなしです。
そして先ほどから登場している絵の梶山俊夫さん、日本の昔話にこの方は欠かせません。実に味のある、日本的な暖かい絵を描かれます。有名どころでは「さんまいのおふだ」「ごろはちだいみょうじん」「ねずみのもちつき」(いずれも福音館)、「島ひきおに」シリーズ(文・山下明生、偕成社)などがあります。
そして大人の方には、こちらがお薦め。「復活珍品上方落語選集」正・続・続々と3冊出ていますが(燃焼社、2001〜2003年)、これは貴重な資料ですし、函入り豪華本ですから1冊4000円!でも欲しいっ、公共図書館にもありますが…。
正編の内容は、片袖 高宮川天狗酒盛 蝋燭喰い 長持 能狂言 後家殺し さじ加減 佐野山 月宮殿星の都 しじみ売り 団扇芝居 芝居風呂 昆布巻芝居 猫芝居 苫ケ島 音曲質屋 髑髏の仇討ち 伊勢松坂扇屋怪談 …です。「月宮殿星の都」は生で聞きました、「ジャックと豆の木」のようでもあり、上方落語の地獄八景=「じごくのそうべい」シリーズ(文と絵・田島征彦、童心社)のようでもあり…バカバカしいのも好きです。田島さんといえば、ニュース!何と、文我さんの文に田島さんの絵で「へそがかえったぞ」(童心社)が出版予定であるとの新情報を得ました!楽しみ〜。
続編の内容は、占い八百屋 南海道牛かけ しらみ茶屋 紺田屋 田舎芝居 関津富 蛸坊主 稲川 出歯吉 井戸の茶碗 ほうじの茶 箒屋娘 応挙の幽霊 小間物屋小四郎 下女の出かはり シールス来朝 死ぬなら今 …となっております。
続々編は2003年の12月29日に出たばっかりで、内容は、吉野狐 おたおたの太助 左甚五郎猫餅 うんつく酒 湯文字誉め 貝野村 浄瑠璃乞食 盆唄 五人裁き 走り餅 綱七 自来也 鍬盗人 解けやらぬ下関水 …であります。
最後に、CDなのにISBN(インターナショナル・スタンダード・ブック・ナンバーという本固有の番号)を持ち、書店でもCDショップでも入手できるものも1つ紹介します。「おやこ寄席ライブ」1〜10巻です、他にもCDはあります。出版社はAPPカンパニー、おやこ寄席ライブ1〜10の内容は下記のURLからどうぞ。
http://www.app-beya.com/oyako/content.html
好きな本と、好きになったばかりの落語が融合していて何と贅沢な!ウットリ〜。余談、三味線弾きの、かつら益美さん(文我夫人)も宜しく!
生きているということ
久々の図書室です、今回は以前から書く書くとさんざん言っていた谷川俊太郎さんであります。もう有名すぎて、何も申し上げる事は無いでしょうが、現代詩の最高峰と言っても過言ではないでしょう。灰谷氏の時と同様、ミーハー?な私は札幌から恵庭まではるばる車を走らせ、ご本人(詩の朗読)とご子息(音楽3人組DiVaで活動していた頃)を一目見に行ってしまいました。
初期の「二十億光年の孤独」(創元社)、「六十二のソネット」(創元社)、'70年代の「夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった」(青土社)、'80年代の「モーツァルトを聴く人」(小学館)、「世間知ラズ」(思潮社)、「そのほかに」(集英社)、「はだか」(筑摩書房/1988年/佐野洋子絵)…は勿論。
児童書の「いちねんせい」(小学館)、「どきん」(理論社)、「ことばあそびうた」(福音館)、「みみをすます」(福音館)、「わらべうた」(集英社)…も勿論。安野光雅さん達と書いた、理想の国語教科書「にほんご」(福音館)もよろしい。
'90年代に写真家/荒木経惟さんとの作品「やさしさは愛じゃない」(幻冬舎)も良いし、幻の限定500部…絵/和田誠さんとのカルタ本「いろはうた」も○○前の中古本屋(秘密!)にあったしなぁ…。音楽室にも書いた、作曲/木下牧子さんとの組曲「地平線のかなたへ」の「春に」も素晴らしい。
でも何と言っても、管理人にとって衝撃的だったのは、氏への見方が完全に変わったのは、1991年に出た「女に」(マガジンハウス)でした!絵は上記「はだか」と同じ佐野洋子さんです、ここから長〜い話が始まります。
氏のクラシック音楽好きは、たぶん音楽をされていたお母様の影響でしょう。そして1度目の奥さんは岸田衿子さん(女優の今日子さんの姉)で、この方について書くとまた長くなる!絵本作家(文)であり詩人であり、「かばくん」「ジオジオのかんむり」(いずれも福音館)と言えばおわかりでしょうか。「かぞえうたのほん」(福音館)の中の“へんなひとかぞえうた”など絶品です! アーノルド・ローベルの「どろんここぶた」(文化出版局)の翻訳もしています。しかし、約1年で離婚します。
2度目の奥さんは新劇女優の大久保知子さん、ご子息賢作さんとお嬢さんのお母さんですね。で、'89年にお父様を亡くし、再び離婚し、翌'90年に3度目の奥さん=佐野洋子さんと一緒になる訳です(※のち離婚)。
絵本作家であり、絵描きであり、文章も素晴らしい佐野さんについて書けば、またまた長くなる!「100万回生きたねこ」(講談社)は、名作中の名作! 「おれはねこだぜ」(講談社/絵本)、「私の猫たち許してほしい」(筑摩書房/エッセイ)など猫好きでもあります。この佐野さん、子連れ離婚経験者でもあり、エッセイ「ふつうがえらい」「がんばりません」(共に新潮社)など、すごく勇気付けられます、何を隠そう管理人も似たような経験をしているもので…。そして、もう女を辞めよう…と思っていた時に出会ったのが上記の「女に」でした。
大好きな谷川さんの詩に、佐野さんの衝撃的な絵(ほとんど裸です!)、このお2人が夫婦だ(※だった)と知ったのはかなり後の事で、先入観無しでこの作品に降参しました。この時すでに谷川氏60歳、佐野さんも50代です、そのお年でここまで詠える、描ける事がショックだったのです。
詩人谷川さんのお仕事は他にもあります、それは翻訳。シュルツのスヌーピーでお馴染みのピーナッツシリーズ(角川書店)、マザーグースのうた(草思社)、レオ=レオーニの作品の数々(好学社)、ジョン・バーニンガムの「いつもちこくのおとこのこ」(あかね書房)「ALDOわたしだけのひみつのともだち」(ほるぷ出版)、サリー・ウィットマンの「とっときのとっかえっこ」(童話館)…などなど、どれも偶然?好きな作品ばかりです。
ここで煮え切らない方のために…、管理人はしつこく書いてしまいましたが、決して3度の結婚・離婚にこだわらないで下さい。逆に、作品が良ければ何度結婚・離婚しても良い…とも、思わないで下さい。作者と作品は別であり且つ一緒である!?どれだけ上等な嘘をつけるか?どれだけ読者を騙せるか?も、作品の良し悪しではないでしょうか。人が何と言おうとも、私は谷川氏の作品に落ちました(恋に落ちるのオチルですよ〜)。
ねずみ(毎日メモ2003/10/6から移動)
ひらもこ♪さんのページに書いた「鼠に引かれる」と言う言葉を、若い方々がご存知ない事を知り、今回のテーマは「ねずみ」です。調査した結果、この言葉を知っているのは50歳以上で、死語になりつつあるそうです。あんなに仲良く暮らした鼠なのに…。
子どもの頃は天井裏に鼠が住んでおり、しょっチュウ運動会をやっていました。生きた白鼠も、鼠の死骸も見ました。猫が鼠を取らなくなったのは、近年でしょうか?キャットフードの所為か鼠が居ない所為か?!
鼠と言えば…どうしても本業?ゆえ、絵本ばかり浮かびます。日本の昔話だけでも「おむすびころりん」「ねずみのもちつき」「ねずみのすもう」(パネルシアターで演じました〜)「ねずみ浄土」「ねずみ経」・・・日本は昔から鼠と親しかったようです。
外国ではインドの昔話「ねずみの嫁入り」(やっぱりアナタが良い、アナタに辿り着くまでが面白い!)、イソップ寓話「町のねずみと田舎のねずみ」、ルーマー・ゴッテン作「ねずみ女房」(これは平凡な主婦に疲れた鼠の奥さんが不倫を!?ドキッとする作品です)など・・・。
十二支の中で何故ねずみが最初なのかは、ご存知ですね?神さまが正月わたしの所へ来た順に…と仰いましたら、猫が鼠に聞いたのですな「正月っていつ?」と。鼠は猫に、「1月2日」と答える訳です。で、1番早かった牛の頭にちゃっかり乗った鼠は、ゴール寸前で飛び降り1番乗り!だから「ね、うし、とら…。」猫は居ないのであります。
しかしディズニーのミッキーマウスに始まり、最近は可愛い系の鼠が多いですなぁ。日本では中川季枝子&山脇百合子(旧姓大村)姉妹で有名な「ぐりとぐら」シリーズ、これは野鼠ですが。なかえよしお&上野紀子コンビの赤いチョッキの「ねずみくん」シリーズ。実はこのねずみくん、私がパートナーにしたいNo1です!って、もう居るやん(^^;
他にも、いわむらかずお「14ひきのねずみ」シリーズ、芭蕉みどり「ティモシーとサラ」(こちらは双子の子鼠)、佐々木マキ(なんと男性です!)「ねむいねむいねずみ」シリーズも面白い・・・。
外国では、ルーシー・カズンズ作「メイシーちゃん」シリーズ、それからレオ・レオーニも鼠好きとみえて「おんがくねずみジュラルディン」「アレクサンダとぜんまいねずみ」など、究極は「フレデリック」でしょう。因みに私のパートナーは、フレデリックです!?
大人が楽しむおはなし会
2004年6月×日、大阪の某市立図書館で、「大人の楽しむおはなし会」がありました。このてのお話し会は札幌時代に勉強のため何度も足を運びましたが、児童文学界では著名な松岡享子さん(東京こども図書館←東京の中野区まで学生時代行きました!)の「おはなしのろうそく1〜25巻」(2004年3月現在)などに基づき全国各地にこの運動が展開し根付いている事に、まず感動しました。普段は、子どもや親子向けに語るのですが、年に何回かだけは大人を対象に…ですね(これも札幌と同じ!ろうそくに火を灯すのも…)。
この日は、おはなしの会「ねっこぼっこ」さんのお話し会でしたが、ネーミングがまた良いです。ジュビレ・フォン・オルファース絵、某氏訳で1982年9月に福武書店から出版され絶版になった「ねっこぼっこ」(土の精、母は大地。色とりどりの花や虫になって野原や森や水辺に春を運ぶ…四季の移り変わりや大自然の営みをゆったりと描いた絵本)ですが、2003年3月に我が愛する童話館(長崎/ストーリーテリングを日本に持込み紹介した絵本作家で慶応大学の図書館学の先生でもある渡辺茂男さんが顧問)から石井桃子さんの訳で「根っこのこどもたち 目をさます」とタイトルを変えて復刊したのですねぇ。
札幌との大きな違いは、お客さんの年齢層が高かったこと、語り手の中に男性が含まれていたこと、休憩時間にお茶が振舞われた事(いかにも大阪らしい!?)…ですが、なかなか味わい深い良い時間を過ごす事ができました。ケーブルテレビの取材も来ていましたよ!
とりわけ、後半の小噺!?には笑いましたし、更にトリの「耳なし芳一」(小泉八雲原作)は圧巻でした。当然全て諳んじて語るわけですが、所謂暗記ではなく、言葉の1つ1つを1度自分の中に取り込んで消化してからお客さんに向けて発するので、それはそれは安心して聞けました。琵琶法師が語るくだりでは、何と節♪まで付けて語ったのです!!間合いと言い、声の高低と言い、ズルズルと引きずり込まれました。
何度も言いますが、本当に良いものを聞いたとき、良いものに出会えたとき、ヒトは細胞が活発になり!?身体の調子が良くなります。今日もそれを全身で感じました。私を幸福にしてくれた、その語り手とは……何と、くりるんの前の奥さんなのでした。ありがとう…
たまには絵でも…
なかなか図書室を更新できずにおります、理由は現役を退いたことと、老眼の進行と映画にはまってしまった…という事にしておきましょうか(笑)。そこで久々の登場は、画家のジミー大西さんであります。図書室ですよ、わかっています、お薦めの本があるのです。
まずは、「トーテンくんのオーケストラ」(講談社・2001年)。6年ぶりの絵本ということですが、そちらの方(※)は未読です。言葉少なく、孤独な大木が生まれかわってゆく物語…音楽好きにはたまりません。※1995年に主婦と生活社から出た「ホームランド」は、某所で復刻を求めているようです。
次は、「ちいさな花火のひみつ」ジミー大西/作・画 長崎幸雄/文(角川書店・2002年)。彼は関西人ですから、ビッグバンがフライパンになってしまうのでしょうか?! 宇宙の始まり、生命の不思議…そういったレベルまで行ってしまう感動的な寓話です。
これらは、児童書として子どもが見ても良いですし、多くの図書館では一般書(大人の本)として美術の所で扱っています。まだあります、今度は本ではないのですが上記の写真、1999年に近畿地方で発行された「ふるさと切手」〜「第23回世界新体操選手権」です。大阪城をバックに、新体操の選手が描かれています。絵本を見慣れていると、この切手も彼の作品だとは、言われるまで全く気付きませんでした。
ちょっとここで世間話をすると、彼の吉本時代のマネージャーは賢女で、彼を支え最終的には彼の賢夫人になったのは有名な話ですよね。彼曰く、1%の閃きと99%の遊び心…これが絵を描くには必要だそうです。図書室ではありますが、指揮者の井上○義さん(別名ミッキーさん?)も仰っていました。コンサートの最中に、指揮台の上に正座して客席を向いて…僕は音楽が好きだから音楽家になった、君たちも好きな道を歩んで欲しいというような内容を。子ども達に希望を、大人にも夢を!そういった点でもお薦めの2冊であります。