GALLERY
O-bakeさんのサイトで開かれた「2005年ハロウィンパーティ」で、O-bakeさんからプレゼントされた作品1点と、ブーハさんが獲得した戦利品3点とブーハさんの力作2点を展示しております。

今回のお題は「化ける」でした。

なお、この企画のルールによるブーハさんへのご褒美…は、諸事情により削除させていただきました。(2008.3.8)





最強最悪の化かし屋
投稿者:ホワイトハート(本当のHN:O-bakeさん)


 冷たい雨のふる日だったけど、ハロウィンパーティが開かれている英会話教室は熱いぐらいで、窓はうっすらと曇っていた。
 僕はその窓の下にすわり、魔女になりきった妹たちが夢中でゲームの続きをしているところをぼんやりながめていた。もともとやる気の無い僕はとっくにドロップアウトしている。
 ほんの一時間前まではここに来るつもりなんて、さらさらなかった。今年は高校受験だから、仮装パーティは去年で終わりにするつもりだった。
これで最後だからと、去年は恥をしのんで女装にトライして、結果、見事に仮装大賞をもらい、「今年でパーティからは引退する」と宣言までしてきたのだ。
 それなのに今日になって妹が「お兄ちゃんが行かないならあたしも止める」と言い出し、彼女の強情さを知っている母は渋い顔をしながらも「あんた、行ってあげたら」と来た。
 で、僕は引退しそこねてここにいる。しかも某魔法学校の悪名高き教師の格好をさせられて。窓に映る不機嫌きわまりない顔は本物そっくりだ。今年も別の意味で仮装大賞がもらえるかもしれない。
 僕は、ここに来てから何回目になるかわからないため息をついて、部屋を見渡した。すると、黒い仮装の中で、たった一人、白い魔女に扮した女の子に気がついた。初めて見る顔だ。最近教室に入った子だろうか。ついじっと見る。彼女が振り向いた。
 可愛い。
 ひざ上10センチの白いワンピースに、白いボアのついたマントをはおり、白いブーツという格好。頭にはお決まりの三角帽子をのせて、これは銀色。抜けるように白い肌にくりっとした目。肩にかかるまっすぐな黒髪。むしろ妖精だ。
 ぼうっと見つめていると、彼女が微笑みかけてきた。僕の頭が一気に熱くなって、もう少しで倒れるところだった。
 そうならなかったのは妹のおかげだ。彼女は投票用の紙を持って「お兄ちゃん!」と来た。仮装大賞を決める時間が来たらしい。
 投票するのに鉛筆はいらない。チップのような青い紙切れを、自分が一番気に入った人のところへ持っていけばいい。青い紙を一番多くもらった人が賞をもらえる。
 僕は迷わず白い彼女に手渡すことにした。そうしたらきっと話もできる。
 ところが、彼女がいない。さっきはひと目でわかったのに、今はいくら探し回っても見つからない。僕は教室の先生に聞いてみた。すると、アメリカから日本に来て3年になるというその先生は言った。
「今日はハロウィーン、日本のお盆と同じ。死んだ人も集まってくる。だから、そういうこともアリマス」
 先生は意味ありげにウィンクをすると向こうに行ってしまった。残された僕は思う。
 「そういうこと」ていうのは、つまりアレか? 「化」のつくものなのか?
 ぞわりと鳥肌がたちかけた僕の背中を誰かがトントンと叩いた。さっきの白い女の子だ! 僕の頭から思考力が弾け飛んだ。まるで消え入りそうな白さもコスチュームも可愛らしさも仮装なんかじゃない。この子がモノホンの幽霊だとしても、それがどうしたっていうんだろう。
 僕は青い紙を女の子に渡そうとした。でも彼女は首を横に振り、にっこりと僕の胸元を指した。
「あなたの体をちょうだい」
 そういい終わるか終わらないかのうちに、ぐわんと目まいがして、僕と彼女は入れ替わっていた。僕は気づいたら浮遊霊となって、自分の体を見下ろしている。
 この世とあの世を通じて最強最悪の化かし屋だよ、女って。





その名は?
投稿者:人野話流師(本当のHN:O-bakeさん)


昔々、ひょっとすると遠い未来かもしれず、もしかしたら私たちが暮らしている時代であるかもしれませんが、あるところに変身の術にすぐれた魔術師がいました。
変身の術が使えるようになったばかりの若い魔術師は、すぐに鳥や魚、そうでなければ見目麗しき乙女や勇者になりたがりますが、この老練な魔術師は、必要がない限り、そんなものには変身しません。
彼が好んで姿を変えるのは、色々な種類の人間です。いたずら盛りの腕白坊主に化けて大人をやりこめるなんて序の口。
嘘ばかりついている口の上手い政治家になりすまして、一国を滅亡へ導いたり、内緒話に目が無い貴婦人に化けて、某王家のスキャンダルを流したり、金で呆けた成金になりきって贅沢三昧の生活をした挙句、企業を二つ三つ潰したりするのが、魔術師にとっては何よりの楽しみでした。
姿を変えては世界を動かして喜ぶ彼のことを、人々はののしったり賞賛したりしますが、本人はこれっぽちも気にしませんでした。国がひとつ滅ぶと、国民はひどい目に遭いますが、逆にその国でこき使われていた奴隷は解放されます。両方の言い分に耳を傾けていては、いつまでたっても動きがとれませんからね。

こんな得体の知れない魔術師には、できれば遭遇したくないかもしれません。でも本当にいるんですよ。魔術師のもう一つの名は作家といいます。




どうぞお使いください
投稿者:内緒の功(本当のHN:くるりん)


むかし昔のことでございます。

ある村に、源兵衛さんという真面目な働き者がおりました。

仕事が終わると酒も飲まずにまっすぐ家へ帰り、家では奥さんがいそいそと夕餉の支度をして待っております。

ところがこの源兵衛さん、お金に困っている人がいるとすぐ貸してしまう癖がありました。

奥さんも奥さんで、そういった源兵衛さんを責めるでもなく、いつもにこやかなお人よしだったのです。

ある年末のこと、大家さんが家賃を取りにやってきました。

二人に子どもはないものの、人にお金を貸しすぎて日々の暮しがやっと、滞っている家賃を全部払えるだけのお金は残っていません。

「後生ですから、どうかあと一日だけ待ってください」
と、奥さんは大家さんに頼み込みました。

そして翌日、再びやってきた大家さんに奥さんはきっちりとお支払いをしたのです。

そのお金はどうやって工面したかですって?

奥さんの着物が、お金に化けたそうですよ。



化けてやる
投稿者:元美化委員(本当のHN:くるりん)


 彼女が初めて化粧したのゎ,大学一年の時だった(*^▽^*) 幼い頃,母親の鏡台からこっそり口紅を盗み出して塗ってみたことゎぁるけど。一応高校ゎ化粧禁止だったし。
 彼女が化粧をしたのにゎ,二つ理由がぁる。一つゎ,中学高校とテニス部で真っ黒に日焼けした顔を少しでも白く見せたかったから(’∀≦)g” もう一つゎ,失恋w(☆o@)w 大学に入ってすぐ出来た恋人ゎ彼女の顔を見て,女ゎ化粧ぐらいしなきゃねと言ったのさ。それだけでゎなぃ。彼女を捨てて,違う学部の美人に乗り換ぇゃがった(;χДχ) きっとぁぃつを見返してゃる!
 安物のベースクリーム,ファンデーション,パウダー,チーク,アイシャドウ,アイライン,まつ毛カーラー,マスカラ,アイブロウ,リップ,グロスなどを次々と買ぃ求めた。化粧だけでゎなぃ,生まれて初めてパーマもかけてみた。それも半端なパーマでゎなぃ,ソバージュだ。
 よし,これで完璧だと思ったのだが,なぜか彼女ゎ泣ぃた(¶−¶) 鏡を見て,自分の姿を見て,思ぃっきり泣ぃたのだ。

 女が化けるとぃぅことゎ,こぅぃぅことさm(u_u)m





三すくみ
投稿者:じゃんけんぽん(本当のHN:ブーハ)


100年生きた化け蛙と、これまた100歳の大蛇、どうやってか100年生きてる巨大ナメクジが、出会った。
それと同時に、3匹は身動きがとれなくなった。
どれも100年のうちに霊力を得て、変化の術を使うことができたので、一斉に変化を試みた。
えい!  やあ!  ほい!
蛙は蛇に、蛇はナメクジに、ナメクジは蛙になった。
これでは状況は変わらない。
もう一度変化。
蛇になった蛙はナメクジに、ナメクジになった蛇は蛙に、蛙になったナメクジは蛇になった。
やっばり状況は同じ。
次に、蛇になってからナメクジになった蛙は蛙に、ナメクジになってから蛙になった蛇は蛇に、蛙になってから蛇になったナメクジはナメクジになった。

こういうことを繰り返し、かれこれ1000年経っても、勝負はまだつかない。





蚊の思考
投稿者:シーラカンス(本当のHN:ブーハ)


羊歯のような植物が地面を覆っている。
頭上には、蘇鉄やら松の類の木々。
今食事を終えた蚊が、その間を飛んでいた。
「ズウタイバカリオオキイクセニ、ノラマナヤツラダ。デモ、ソノオカゲデ、マイニチコウヤッテショクジニアリツケルノダカラ、アリガタイハナシダナァ。ウワァァ!」
飛んでいる蚊の頭上から、ねっとりとした雫が落ちてきて、そのまま木の幹に叩きつけられた。
「ナンダコレハ。ネバネバスルゾ。ギャアアッ!」
もがいている蚊の横に、またもやねっとりとした塊が落下してきた。
「デラレナイ。タスケテクレ!」
水あめのような形状の黄色っぽい物体が、蚊の体を包み込んでいく。
「ナンデコウナルンダ。。。。。。。バケテ、デ、テ、ヤ、ル。。。。。。。。。。。。」
終には、蚊はその物体にすっかり取り込まれてしまった。
そして、年月は流れる。
蚊を包み込んだ物体は、地中深く埋もれ、いつしか堅い石となった。
琥珀と呼ばれるその石は、いわば樹液の化石。


再び地上に現れた蚊は、とある研究室へと運びこまれた。
そして、気がつくと、透明な壁の向こうに、見たこともない生き物がいるのが見えた。
「またひとつの種を復活させるのに成功しました。これも虫の一種のようです。詳しい生態はまだ不明ですが、これから実験区域に放して観察することにします。」
 西暦300X年。地上の生物は、一部の人類とゴキブリを残して全て死滅し、残された人類は、シェルターの中で何世代かを過ごした。
 かつて生きていた生物の記録も失われ、僅かに残るDNA情報を元に、様々なクローン生物が作られた。
 現在実験区域にいる生物は、ダニ、ノミ、ワニ、ヒツジ、それといつの間にか住み着いたゴキブリである。
 なお、蚊と共に取り出された別のDNAからもクローンが作られた。
 研究室の培養装置の中で育っているが、どうも容器が小さすぎるようである。



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